×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


▽ 苦しいほどの愛が降る



日曜。
会社勤めのヒーローは本日、一応は休業日。
軽い運動がてら愛犬と早朝散歩に洒落込み、帰宅すれば鼻先をベーコンの香ばしい匂いが掠める。


「おかえり、そしてナイスタイミング!今、丁度朝ご飯の用意を始めたところ」
「なるほど、通りで良い匂いがすると思った!」
「軽くシャワー浴びてきたら?その間にフレンチトースト焼いちゃうから」
「そうさせてもらうよ」


熱いシャワーで軽く汗を流す。
ベーコン、フレンチトースト、レタスにトマトを皿に盛り付けコーヒーを煎れ始めれば、これまた狙った様に首からタオルを提げたキースが現れる。うん、今日も飛び切り爽やか。


「いただきます!」
「どうぞ召し上がれ」


フレンチトーストは甘さ控え目。なぜなら彼がそれにメイプルシロップをかけるのを知っているから。
パクパクと実に美味しそうに食べる姿は作り手冥利に尽きる。


「そうだ、今日はこれから街まで買い物をしに行こう!」
「何か欲しいものでもあるの?」


キースからのお誘いはいつも唐突で、でもそれは全然嫌じゃない。


「いや、最近ゆっくり出掛けている暇がなかっただろう?たまたまキミに似合いそうなワンピースを見掛けたから、ショッピングデートなんてどうかなと思ってね。嫌、かい…?」
「ううん、嫌だなんてある訳ない。勿論ご一緒させて頂くわ」
「そうか!それは良かった!」


子供みたいにコロコロと変わる表情は見ていて飽きない。特に嬉しそうな顔が一番魅力的。



苦しいほどの愛が降る



自宅から数百メートル。
大通りへと続く公園の一本道を仲良く歩いて休日デート、のはずが―――――


「あぁすまない、呼び出しだ。折角これからデートだったと言うのに……」


左手首に付けられたバンドから出動要請。
しょんぼりと、大袈裟なくらい眉を下げ肩を落とす彼に私の方が同情してしまう。


「良いよ気にしなくて」
「しかし…」


渋るキースの背中をそっと後押し。


「ほーら、早く行った行った!埋め合わせのキース特製ハニーワッフルアイスクリーム三段乗せ、期待してるから、ね?」
「すまない、そして行ってくる!」


太陽もびっくりする位ニカッと満面の笑顔で颯爽と現場に向かって行くキース。
ヒーローやってる彼も好き。ヒーローじゃない彼も好き。
どちらにしたって私のヒーローは貴方なのだから。


「頑張れ、キングオブマイヒーロー」


(今日も空に向かって投げキッス)


----------
企画:英雄/HERO
タイトル:残香
2011,07,03 濁点


prev / next

[ back to top ]