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03



「はぁ―――それで壱季さんが銀さんの昔の知り合いだって言うのは分かりました」


突然の(変な)訪問者や突拍子も無い依頼や(色んな意味で)ヤバい類いの人物や事件などは万事屋で働きだしてからと言うもの大分慣れた訳だが、今回はまた今までとは別種の意味で新八は驚いている。派手目な着物と朱い髪、それに見劣りすることの無い長身と綺麗な顔立ちの女性――――宮原壱季。桂と言い坂本と言い、更にあの高杉と言い。本当にこの坂田銀時と言う男の知り合いには驚かされてきたが、まさか止めにこんな秘密兵器が来るとは。どういった知り合いなのか詳しくは知らないが、多分きっとこの人も一癖も二癖もある人なんだろうなと予想する。しかしそんな新八とは裏腹に神楽はちゃっかり壱季の膝の上に跨がり「もう一人姐御が出来た」や「そんな天パやめて私にするヨロシ」などと完全に馴染んでいる。いや、むしろ懐いている。


「でもこんな綺麗な人と知り合いだなんて銀さん、あんた一体何言って騙したんだ」


納得出来ない、と言うかむしろこんな甲斐性無しのグータラな天パに女の親しい知り合いが居る事自体疑わしい。


「あぁん?人聞きの悪い事言うな。そんなんじゃねぇよこいつとは。むしろ見た目だけだこいつが女らしいのは。あ、胸はまない――――」

た、と銀時が発言する間もなく左から肘鉄が繰り出された。


「お前はほんとその事しか言わねぇな」
「ッテー!なんなのまじでなんなのこの子!暴力反対!」
「そもそもテメーのナニだって人に誇れる様なもんかよ」
「失礼な!銀さんのはなぁそんじょそこらのとは違うんですぅー」
「はいはいはいは見栄張らなくていいから。あと唇尖らせても全然可愛くないから」
「見栄じゃねぇしなんなら今ここで確かめて、……」

「いい大人が大概にしろぉぉぉッ!!」


神楽ちゃんに悪影響!っと怒鳴りながら新八はいい大人二人の頭をスパンスパンッとどこから出てきたかは分からないがハリセンでひっぱたく。


「銀さんはもう仕方が無いとして、え、壱季さんもそんな人!?」
「ボケかツッコミかって言われたら、敢えてボケる方かな。その方が面白いし」
「何ですかそれ、凄く質悪いんですけど」
「ほらな新八、言っただろ見た目だけだって」
「アハハ、まぁ否定はしないけどね」
「笑い事じゃないですよまったく」
「何変な期待してんだよ新八ぃ自意識過剰アルな」
「神楽ちゃん最近僕に厳しくない?」


そんなことないアルヨと言う神楽と再びなんやかんやと言い争いを始めた大人二人に先を思いやられつつ新八は溜息を吐くしかなかった。



居候、追加一名入ります



「そんな訳で、暫くお世話になります」


ちゃっかり下着から着物、簪、褞袍などと何から何まで一切合切持ってきておいて何を言うか!と言う突っ込みは彼女自身想定済みであろうから敢えて言わずにヒクリと苦笑い。本当、色々背負い込むのが得意になったもんだ。


(早速で悪いんだけどちょっと金貸してくんね?)
(は?何で)
(ババァに三ヶ月前の家賃払わなきゃ流石に不味いんだわ……)
(銀ちゃんほんと甲斐性ないアルな)

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2011,02,20