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02



夏に入りかけ、じっとりと汗ばむ日。カンカンカンと軽快に階段を上る音。

ガラガラガラッ―――


「ぎーんーとーきーくーん!」


勢いよく万事屋のドアは開けられ、同時に元気ハツラツ?とでも聞きたくなるほど澄んだ声が玄関から室内に木霊した。だが、生憎居住者は留守だったのか返事は無い。しかし端から返事など期待していなかったらしく、言うが早いか訪問者はさっさと靴を脱いで家へ上がり込む。そのまま家の中をぐるりと見渡し、どっかとソファに座る。そして少し間をおいて家主と居候達が帰ってきた。


「銀ちゃん、誰かいるアルヨ」


開け放たれたままの玄関。脱ぎ捨てられた靴。廊下に放り投げられ散乱した荷物。一体何事かと応接室まで来てみれば、ソファ越しに見える朱色の髪。
まさか…
一瞬全ての動きが止まり、ドクリと心臓が波打つ。そうしているうちにソファにいた人物は、自分の背後に人の気配を感じたのかゆっくりと立ち上がり振り向いた。


「お、ま…」
「よ!銀時、久しぶり!」


向けられた笑顔は昔と変わらず軽快で明るい。白い肌に良く映える朱色の髪。間違いない、コイツは―――


「壱季…?」
「あはは!相変わらず死んだ魚の目しちゃって」
「ちょっと待て、おま、どうやって来た!?」
「どうって、歩いて?」
「いや、そうじゃなくて…!つーかなんでここ分かったの!?」


銀時が続けて何かを言いかけた時、その背後から新八と神楽が顔を出した。


「誰アルか、このべっぴんさんは」
「おー中々良い教育されてんなこの子。こういう子は無条件で可愛いよねー」


良い子良い子と壱季は神楽の頭を撫で、神楽は神楽で早々に彼女に懐いたようで早くも好き勝手に色々と質問をし始めている。

「ちょっと銀さん一体どういう事ですか?取り敢えず説明して下さいよ」
「説明って…俺もして欲しいわ……」


がっくしと項垂れる銀時と自由奔放な彼女を前に何やらまた必要としてもいないツッコミのスキルが上がりそうな嫌な予感を抱える新八であった。



The Visitors



(取り敢えずお茶、持って来ますね)
(俺、いちご牛乳ね)
(アンタは自分で用意しろ)

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2009,09,08
2010,06,18 修正
2011,11,5 修正