※ほんのりネタバレです
























「ひっめかっわせーんぱい!一緒に回りません?」

影の薄い者同士で。
そう話し掛けてきたのは、男鹿の唯一の友人である古市だった。

「俺は薄くねぇ。別にいいけどよ、男鹿はいいのかよ?」

俺がそう言うと、古市は一瞬目を伏せた後、いつものように騒ぎ出した。

「いいんです!っていうか、見ました?あれ!何なんですかね、男鹿の奴!ヒルダさんに邦枝先輩まではべらせて!」

いつも通りの古市に苦笑しながら、頭に手を乗せ、ぐしゃっと撫で回してやった。さらと触れる感触に、ドキリとした。

「んじゃまー、行くか。影の薄いもん同士。」

厭味で返してやれば、いつもは男鹿だけに向けられる笑顔が、今は俺にだけ向けられていた。





その夜、一人で歩いていると、反対側から男鹿と哀場とか言うもう一人の子連れ番長が歩いてきた。

「よぉ。古市は一緒じゃねぇのか?」

「こいつが邦枝について色々教えろってしつけーんだよ。」

俺の質問には答えていないが、古市がいなければ男鹿との会話などあまり成り立たないので、スルーする。

「つーことは、古市は今部屋にいんのか?」

「まぁな。…古市に何か用かよ。」

不穏な気配を感じたのか、男鹿の目が鋭くなる。後退りしたくなるが、グッと耐える。

「男鹿には関係ねぇよ。」

そう言い、男鹿の横を通り過ぎる。通り過ぎざまに

「あんま放っとくと、誰かに取られるぞ。」

と言ってやれば、後ろで男鹿が勢いよく振り返ったのを感じた。
俺を引き止める声が聞こえたが、無視して部屋を探す。が、よく考えたら部屋の番号を知らないことに気がついた。携帯を開き、電話帳を呼び出す。目的の人物の電話番号に電話を掛けると、三コール目で出た。

『もしもし。姫川先輩…っすか?』

電話越しに聞く声は、直接話すのとはまた違って、何だかむずむずしてくる。

「おう。お前の部屋、何処だ?」

『え、…と、×××ですね。どうかしたんですか?男鹿ならいませんよ。』

近くにある部屋の番号を見ると、どうやら近いらしい。

「お前が今一人で寂しくしてるって男鹿に聞いたから、俺様が行ってやろうと思ってよ。」

『えー、寂しくないんで大丈夫です。』

「異論は認めねぇ。今から行くからな。」

俺がそう言うと、電話の向こうで古市がケラケラと笑うのが聞こえた。

『そんじゃ待ってますねー。』

今一人で暇なんで。
そう言って電話を切った。

今夜は楽しくなりそうだ。





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男鹿古←姫ですよ!おがふるは付き合ってますよ!
WJ18号があああああ!ってなった結果です。次が出る前に書こうと思い、マッハで書きました。

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