「男鹿、寒い…。」
そう言う古市は、教室の中だと言うのにマフラーを巻いていた。
「マフラーしてるくせに我が儘言うな。」
「元はと言えば、お前らが教室で喧嘩して、ストーブ壊すからいけないんだろ?!」
全ての教室にエアコンが完備されている聖石矢魔だが、石矢魔が使わせてもらっている教室は空き教室だったため、エアコンがなかった。
お情けに、と一週間前に用意されたストーブは、喧嘩していた男鹿と神崎によって壊された。
「別にいいじゃねぇか。」
「良くない!」
「はぁ、分かったよ。ん。」
男鹿は座ったまま、古市に向かって腕を広げた。
「よっしゃ!」
そしてそこに古市が、男鹿と向かい合うように座った。
男鹿は古市の背中へ腕を回し、古市も男鹿の背中へ腕を回している。まるで抱き合うように。
「はー、やっぱ男鹿はあったけぇな。さすが人間湯たんぽ!」
「褒められてる気がしねぇな。」
そのまま会話を続ける二人に、倒れた邦枝を除く、教室にいた全ての人間が生暖かい目で、二人のことを見ていた。
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男鹿は子供体温。古市は寒がり。古市が男鹿に抱き着いてたら萌える。