※古市が怒ったよ!
教室中に散乱している机と椅子。床にはガラス片が散らばっている。その教室の中央、机も椅子も退かし、ガラス片も避けられている空間に、男五人―男鹿、姫川、神崎、夏目、城山―が正座をさせられている。そしてその五人の前には、女好き、残念なイケメン、ロリコン、恥将などあまり嬉しくないレッテルの貼られている古市貴之が仁王立ちをしていた。重苦しい雰囲気の漂うそこを取り囲むように、他のクラスメイトが見守っていた。
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
誰も言葉を発さない中、最初に口を開いたのは古市だった。
「おい。」
その声音はいつもの浮かれた調子ではなく、怒り以外の全てを取り除いた声だった。
「…。」
その声に石矢魔最強である男鹿でさえ声を出せずにいた。
「返事しろよ。」
「「「「「はい!」」」」」
その一言に、五人が口を揃えた。
「アホだバカだとは思ってたけど、ここまで来ると呆れるしかねぇな。」
「う、…だ、だけどな」
男鹿がそう言おうとした。しかしその言葉は古市により、遮られた。
「意見がある人は一人八文字で。」
「八文字…?」
「"すみませんでした"って言えって言ってんだよ。」
「「「「「すみませんでした!!」」」」」
そう言って、土下座する五人を見下ろし、古市は一つ溜め息をついた。
「もういいっすよ…。」
その言葉に五人が顔を上げると、先程までの雰囲気は消え去り、いつもの古市の雰囲気が出ていた。
「ちゃんと謝ってくれたましたし。とりあえずここ、片付けましょう。」
「古市…!」
「お説教は、片付けてからでも出来ますから…ね?」
その時、その場にいた者はこう思った。
こいつは絶対に怒らせてはいけない、と。
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怒り古市好きです。何で怒ったのかは分からないです←