ずっと君の隣で
古市と暮らし始めて、早くも三ヶ月が経とうとしていた時。
今日は珍しく早く帰ってきたから一緒にのんびりしようと思っていたら
「ただいま。」
「…おかえり。」
そこにいたのは機嫌の悪い古市だった。
古市はソファに座って雑誌を読んでいた。一見いつも通りに見えるが、雰囲気が怒っている。とりあえず返事はしてくれたが、怒っている。
今朝何かしただろうか?
というか色々思い当たることが多すぎて、何が原因で怒っているのか見当がつかない。とりあえず、理由を聞いてみることにした。
「古市。」
「なに。」
「何に怒ってんだ?」
「…別に怒ってない。」
嘘つけ。なら何でそんなに返事が短いんだよ。
荷物を床に置き
「嘘つくなよ。」
古市をソファに押し倒す。
古市の読んでいた雑誌がバサッと音を立てて、床に落ちた。
「別に嘘ついてねぇし。つーかどけ。」
機嫌の悪い古市は尚も反抗して睨んでくる。しかし分かっているのだろうか?押し倒した状態で睨まれても、煽っているようにしか見えないことを。
「…だったら認めるまでどいてやんねぇ。」
そういって古市の首元へ口づける。
「ばか!や、めろ…っ!」
俺を押し返そうとする手首を掴んで抑え込む。掴んだ手首の細さに、いつものことながら驚かされる。ちゃんと食ってんのか?
近づけた唇で、古市の肌を少し強く吸って、舌を這わせた。
すると古市の肩が面白いくらい跳ねた。
「や、めろって…言ってんだろ!」
「うぉ!」
そのまま行為に及ぼうとしたところで、古市に急所を蹴られた。あまりの痛さにソファから転がり落ちた。
「て…めぇ。同じ男として、これは…やったらダメだろが…。」
「うっせぇ!…っ、そんなにヤりたきゃ、あの黒髪美人なお姉さんとでもヤってりゃいいだろ…!」
「はぁ?何言ってんだよ?」
古市は俺を退かし、起き上がると言った。
「見たんだからな…!お前が綺麗なお姉さんと二人でカフェ入ってくとこ!」
「はぁ?」
「嬉しそうに鼻の下伸ばしてデレデレしちゃってさ!そんなにその人が良いなら俺と付き合うのなんか止めてその人と付き合えばいいだろ!」
「古市!」
先程の痛みが残っているが、何とか立ち上がり、ソファに座ったままでいる古市の横に立つ。
「お前本当にそう思ってんのかよ?」
「…思ってるよ。」
古市の顔を両手で挟み込み、こちらを向かせる。
「だったらなんで泣いてんだよ!」
古市の白い頬には透明な水が伝っていた。
「だっ、て…男鹿、本当は俺みたいな、男じゃなくて、一緒に手繋いで出掛けたりしても可笑しくない、普通の女の子と付き合いたかったのかなっ…て、思ったんだよ…!」
さらに塞きを切ったように溢れ出てくる涙を、服の袖で拭ってやる。
「男鹿…!ちょ、それ痛いっ!」
古市が何か言っているが、無視だ無視。
涙を拭い終わってから、もう一度古市の顔を両手で挟んで目線を合わせる。
「いいか古市、よく聞け。」
突然真面目な雰囲気を出す俺に古市がたじろぐ。
「…なんだよ。」
「俺は古市と一緒になったことを、一回だって後悔したことないし、これからもありえない。それから、女と一緒にいるほうがいいと思ったこともない。あんなのといるくらいなら、古市といた方がよっぽど楽しいしよ。だからお前はそんなことで悩まないで、俺の隣にいりゃぁいいんだよ。」
俺が思ったことを言うと、古市の顔が途端に真っ赤に染まった。
「…本当、お前って恥ずかしいやつ。」
「いいだろーが、そう思ったんだから。」
「…しょうがねぇから、ずっと一緒にいてやるよ。」
ずっと君の隣で
(ところであの女の人って誰?)
(あー、あれはだな…。)
(言えないのかよ?)
(ちげーから!)
(俺と古市が一緒に暮らしてることばれて話聞かせろって言われたなんて言えねぇ…!)
リクエストしてくださった中山様ありがとうございました!
久しぶりの更新ですいません。しかも無駄に長いですねすいません。
男鹿が一緒に歩いてた女の人は、男鹿と古市がいちゃこいてんの発見して男鹿に事情聴取しようとする貴腐人という妄想w
伝わらないですね←
素敵なリクエストありがとうございました!!
ご希望に沿えなければ書き直ししますので、いつでもお申しつけください!
中山様のみお持ち帰り可能です。