一万打リクエスト
幸せってこと
目を覚ますと、バレーボール対決の時にアランドロンに連れて来られた場所に再び来ていた。周りを見回すと、東条、姫川、神崎、夏目はあの時と同じようにいて、違うのはよく分からない奴らが数名と古市がいないことだった。

「今年もやってきました!第百六回石矢魔だらけのチキチキ大合戦!今年のエントリーは、キラーマシーン阿部!グッナイ下川!MK5!神崎の右腕、夏目!さらに、あの東邦神姫の神崎!東条!姫川!さらにさらに!なんと、一年生にして石矢魔の天下を取った、男鹿辰巳!」

まるでテレビのアナウンサーかのようなナレーションをするのは、ピンクの髪を持つロリコンが見たら泣いて喜ぶような顔立ちをしている医者見習い悪魔のラミアであった。そのラミアの顔が、俺達の前にあるスクリーンに映し出されている。

「さて、今年は一体誰が勝利の栄冠を取るのでしょうか、フォルカス先生。」

「うむ。やはり今年の見所は東邦神姫の三人と、男鹿辰巳の対決でしょう。」

「そうですね。そのほかの戦いはぶっちゃけ時間稼ぎですからね!」

ラミアの発言にそのほかからブーイングが起きる。

「それではいきましょう!第一ラウンド、「ストーップ!」

「男鹿選手、一体どうしたのでしょう。」

こちらの声も聞こえるらしく、ラミアが返事をした。

「どうしたもこうしたもねぇよ!何なんだよこれは!」

俺がそう言うと、他の奴らからもブーイングが上がる。

「第百六回不良だらけのチキチキ大合戦じゃない。」

そんなことも分からないの?と言うように、ラミアが言った。

「そんなことは聞いてねぇんだよ!これは一体何なのかって聞いてんだよ!」

「何って…何かしら?」

「知らねぇのかよ!」

「さっきからゴチャゴチャ五月蝿いわね!私はヒルダ姉様から頼まれたからやってるだけよ!誰が好き好んで、こんなことするもんですか!」

するとラミアの横からヒルダが出て来た。

「私が説明しよう。近頃の男鹿はバレー対決だなんだと、まともな喧嘩を全くしていない。それでは坊ちゃまが退屈されると思ってな。貴様が十分に戦える場所を準備してやった、というわけだ。感謝しろよ。」

ヒルダがドヤ顔で言う。いや、ドヤ顔で言うとこじゃねぇし。

「んなもんやるわけねぇだろ、めんどくせぇ。」

「ほぅ…。そんなことを言っていいのか?」

「あぁ?」

そういうと、ヒルダはどこかから紙を三枚取り出した。

「もちろん優勝者には、褒美が用意してある。」

その言葉に歓声が上がる。やはり物があるのとないのでは、モチベーションが違うのだろう。

「その褒美とは…これだ!」

スクリーンにヒルダの持っていた、三枚の紙が映し出された。それは古市の写真だった。

「貴様らが全員古市に惚れていることは分かっておる。そこで、貴様らの内買った奴にはこの写真三枚セット+秘蔵お宝写真をくれてやろう。」

ちょっと待て、いつの間にそんな写真撮りやがった!神崎、姫川なんて食い入るように見てんじゃねぇか!

「へ〜、古市くんの写真か〜。欲しいかも。」

夏目なんて言ったぞ、くそやろう!

「いや、別にそんな奴のこと好きじゃねぇし…。」

「俺も。」

「俺も。」

「俺も。」

「俺も。」

そう言ったMK5が全員、突然いなくなった。

「そいつらのようになりたければ、異論があるものは申し出ろ。」

誰一人として、言葉を発するものはいなかった。

「ふむ。それでは前置きが長くなったが、始めるか。ラミア。」

「はい!それでは始めましょう!第一ラウンド、姫川VS神崎!」


結果、引き分けとなり、二人は敗退ということになった。
その後も戦い続け、最終的に残ったのは、男鹿と東条だけとなった。

「さぁ、いよいよ最終ラウンドとなります。デーモン男鹿VS石矢魔最強東条!」

「てめぇ古市のことなんて、好きじゃねぇだろうが!」

「はっ!あんな可愛い奴の写真が貰えるなら、頑張るだろうが!」

「あれは俺のだ!」

「いつてめぇのもんになったんだよ!」

「昔から決まってんだよ!」

殴りながら、言葉を交わす。



お互いに体力の限界を感じ、次が最後の一撃となった。

「はぁ、次が…最後だな。」

「力、込めろよ。はぁ、っ。」

力を振り絞り、東条の懐へ飛び込む。が、それより早く東条のパンチがきた。やられる、と思った―





「おい、男鹿!起きろ!遅刻すんぞ!」

「ん…古市?」

今、東条と喧嘩してたような気が…。
そう言ったら古市が、呆れたようにため息をついた。

「どんだけ喧嘩馬鹿なんだよ…。いいからさっさと用意してこい。」

「おぅ…。」

まだ夢の中にいるようで、テキトーに返事をしてから、ふと思い付いた。

「あ、そうだ。古市。」

「なんだよ?」俺を待つ間、漫画でも読むつもりなのかごはんくんを持ち出してきた古市に声をかけた。

「好きだ。」

古市の手から、バサッとごはんくんが落ちた。古市の顔は赤く、まるでりんごみたいだ。

「な、おま、何言って…。」

動揺からか上手く言えていない古市に、いたずらが成功したような嬉しさを感じた。

「言いたくなったから。」

「おま…!っ、さっさと用意してこい!」

立ち上がった古市が俺の背中を押して部屋から追い出した。
ったく、可愛いげのない奴だ。まぁそこが可愛いんだけど。
朝食を食べようと、階下へ向かおうとしたら、部屋の中から声がした。

「大好きだ、バーカ。」

あまり大きくはない、下手したら聞き逃しそうだったが、きっと部屋の中の古市はそうとう大声だっただろう。無償に抱きしめたくなって、部屋に戻ってすでに漫画を読みはじめていた古市を、腕の中に閉じ込めた。

「何すんだよ!」

「いいから黙って、抱きしめられてろ。」

すると古市がおとなしくなった。同時に、背中に腕が回る感覚がした。



(幸せって、きってこういうことだ。)











コペルニクス様、長らくお待たせして本当に申し訳ありません!orz三
そしてあまり古市総受け感が出てなくてすみません((
最後のおがふるに力込めました。←
夢オチの上に、バトルのはずがバトルシーンが一切ないという((
ご希望に添えていなければ、いつでも書き直しますので!
コペルニクス様のみ、お持ち帰り可能です。
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