頂きもの | ナノ

跡様からの5000フリリク小説

青春と言うと聞こえは良いですが。







古市はまるで何かに呼ばれた様にふっ、と前の席に座っている男鹿の背中を視界に入れた。かつん、とシャープペンシルのノックを机で叩いて芯を出し、男鹿の背中を食い入る様に古市は見詰めた。カリッとチョークが削れて短くなる音が心地好いのと、お昼時(と、天下の不良高校石矢魔生徒)と言う事から殆どの生徒は机に突っ伏していた。かちんと時計の長針が回る音も聞こえ、さわさわと心地好い風が窓から入って来る。

(ベル坊も寝てんなー…)

緑の髪の赤ん坊もこの心地好さに抗えないのかクークーと気持ち良さそうな寝息を立てていた。いつもは背中にしがみついているベル坊は今は肩に乗っかる様にして寝ており、久方ぶりにちゃんと男鹿の背中を見た感覚になった古市はもう一度シャープペンシルを机で叩く。古市は親指で出過ぎた芯を押して戻し、クス、と喉の奥で笑い、立てていた教科書を机に倒した。

(お、が)

古市はシャープペンシルのノックの方を男鹿の背中に当て、小さく文字を書く。その文字に反応してか男鹿は古市の方へ振り向こうとするが古市は男鹿の頬にシャープペンシルを当てて前を向かせた。「いっ…」と小さく呻いたが大人しく前を向いた男鹿に古市は満足げに頷き、何を書こうかと考えた。

(…えーと、……あ、と、で、で、ー、と、し、な、い、?)

男鹿は数秒固まり、書かれた文字を理解したのかブハッとこっそり飲んでいたオレンジジュースを吹き出した。ゲホごほと咳込む男鹿に古市は机に突っ伏して肩を震わせながら笑う。軽く机を叩く動作からかなりの爆笑っぷりだ。
そんな古市を男鹿は忌ま忌ましげに睨みつけ、口だけを動かして「馬鹿」とだけ言った。古市はようやく収まった笑いから顔をあげ、前を向けとまた男鹿の頬を突く。渋々と前を向いた男鹿に古市はシャープペンシルを押し当て、暫く思案してから文字を書く。

(……だ、い、す…き)

「…口で言え」
「むり…」
「……俺もだ、って言っとく」
「…知ってるもん……」

二人して顔を真っ赤に染めながら小さく会話をする。ペタンと机に顔を突っ伏し、腕で頭を抱える古市に誰かが肩をちょいちょいと控え目に叩く。

「ふへ?」
「古市、言いにくいが…」
「は?」

顔を上げて見えたのは神崎の苦虫を噛み潰した顔で、古市は間の抜けた声を発する。神崎がちょいちょいと指を指し示す辺りには少し照れた様な顔の石矢魔生徒と佐土原で、古市は今までのやり取りを見られていたと瞬時に悟り、ガタンッと机にまた突っ伏し、口から出そうになった奇声を噛み殺した。男鹿はと言えば、こちらも流石に鈍いと言えどこの妙な空気等から状況を悟り、片手で顔を隠し、声にならぬ声を口から発していた。
そんな二人に共通しているのは、先程とは比にならない程染まりに染まった赤い顔だった。

「まあ、外でやれ」
「ああ、全く」

更に追い撃ちを掛ける様に東条と姫川はため息をついた。







青春と言うと聞こえは良いですが。








―――――

嚥下の跡様の5000フリリク小説です!

古市可愛い!!
もんって!もんって!!←
萌えた、萌えつきました。
跡様、ありがとうございました!><

prev / next

[ back to top ]


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -