長編 | ナノ

05

そんなことを考えているうちに
眠ってしまっていたらしい。

気がついたら朝になっていた。


「ん…。もう朝か。」

目を擦りながら、携帯を開き
時計を見てみた。


表示された時刻は

7:45

それを見て俺は固まった。

さらに階下から聞こえてきた
母さんの声が追い討ちをかけた。

「貴之ー。起きなくていいのー。
男鹿くん来てるわよ。」

「…完璧遅刻じゃん。」



「ご飯は?」

階段を降りていくと
呑気そうに母さんが聞いてきた。

「食べる。」

リビングには男鹿がいて
いつもと逆な光景に何だか笑えた。

「古市おせーぞ。」

「お前に言われたくねーし。」

「今日は俺の方が早いんだからな。」

「今日だけだろ!」

「うるさい。」

ギャーギャー騒いでいると
母さんが入ってきた。

「いいから早くご飯食べちゃいなさい。」

「はーい。」



起きてから約30分で用意を終わらせた。

「んじゃいってきます。」

「お邪魔しましたー。」

「いってらっしゃい。」

外に出ると冷たい風が
俺らの間を吹き抜けていく。

「うわ、今日寒っ。」

そう言ってマフラーに顔を埋めた。「今日はいつもより寒いな。」

いつもは何でもなさそうな男鹿も
寒さに顔を赤くしている。

「マフラーくらいして来いよ。」

「大丈夫だと思ったんだよ。」

馬鹿じゃん。などと言って騒いでいるうちにあっという間に学校に着いた。



遅刻したと言ってもあの石矢魔の生徒だ。ほとんどの席が空いている。夏目さんは来ていて、俺は少しだけ緊張しながら入った。

「男鹿ちゃん、古市君、おはよー。」

「おはようございます。」

「…む?誰だ?」

「いい加減覚えろよ!夏目さんだよ!」

昨日あんなことがあったので何となく会うのが気まずいと思っていたが、それは俺だけのようだった。普通に話しかけてくれたので、俺の緊張も解けていつも通りに話せた。



授業などないも同然で、自習の時間は男鹿と話したり携帯をいじったり、ときどき勉強したりした。あっという間時間は過ぎてお昼になった。
昼だけは、皆一様に動き出す。
どんなに強い不良だろうが食べなければ死んでしまう。そして俺らはいつも通り屋上に行って昼飯を食べた。



「暇だなぁ。」

鉄柵に掴まり、パンを食べながら呟いた。

「そうか?」

「男鹿にも彼女出来ちゃったし、俺も彼女欲しいなー。」

そんなのはただの建前だけれど。

「ならうち来いよ。」

「え?彼女はいいのか?」

「今日はいいんだよ。」

「…なら行こっかな。」

「おう。」

久しぶりに対戦やろうぜ。
男鹿がそういった時、昼の終了を告げるチャイムが鳴った。

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