04
「…ただいま。」
「おかえり貴之。」
「お兄ちゃんおかえりー。
遅かったじゃん。男鹿くんは?」
「今日は別。」
「ふーん、珍しいね。」
「別にいいだろ。
母さん、夕飯まで部屋いるから
夕飯になったら呼んで。」
「分かったわ。」
リビングにいたほのかと母さんに言い置いて、自室へと向かった。
「はー。」
鞄を放り投げ、ベッドへと沈み込む。なんだかとても疲れたような気がして早く寝ようと思ったが、さっきの夏目さんの言葉が頭から離れない。
夏目さんは俺が好き。
俺は男鹿が好き。
男鹿は彼女が好き。
どうすればいいんだろう。
俺は男鹿のことが好きだけど、男鹿には彼女がいて相思相愛。
ってことは、俺が夏目さんと付き合えば全てが丸く収まるのだろうか。
けど、ほかに好きな人がいるのに違う人と付き合うのは俺も辛いし、何より付き合ったその人に対しても失礼だろう。
夏目さんは宣戦布告と言っていたが、これからどうすればいいんだろう。
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