曖昧模糊ロジカル
「なぁ、お前は何なの?俺のことが好きなんじゃないの?」
(魔王除く)二人きりの帰り道、古市は不意にそんなことを言った。
「す…きです。」
気恥ずかしくて、なかなか口に出来ないその言葉は、古市の耳に届く前に、口の中で消えた。
「はい、聞こえませーん。もっと大きな声で言ってくださーい。」
「だ、から、好き、だっつってんだろ!」
キチンと古市にも聞こえる声で言ってやると、今度は冷たい視線を送られた。
「だったらなんで何もしてこないわけ?それとも俺からしろってこと?」
「ば…っ!ちげぇよ!俺からするわ!」
そう言うと古市は、手を俺の目の前でブラブラと動かした。
「だったらさっさと手くらい繋げよ。俺の右手が寂しそうですよー。」
「っ、繋げばいいんだろ、繋げば!」
目の前にあった手を掴んで、ギュッと握りこめば
「…手汗やばいな。」
と言われた。
「うるせえええ!だから嫌だったんだよ!」
「あ、もしかして気にしてた?まぁ気にすんなよ。俺は手繋げただけで嬉しいから。」
古市はケタケタと笑った。本当に嬉しがっているのだろうか。
「…お前って意外とそういうことはっきり言うよな。」
「そうか?意外でもないだろ。女の子はこういうこと、はっきり言われた方が嬉しいんだぜ?」
「そうかよ。」
それを聞いて男鹿は閃いた。ならば俺も古市に言ってやればいいんじゃないか、と。
しかし言うのは恥ずかしいし、行動で示そうにも、もう手を繋いでしまった。などと考えていた男鹿の頭に、一つの考えが浮かんだ。
先程古市に言われたばかりだった男鹿は、躊躇うことなく古市の引き寄せ、その唇にキスをした。
「な…!」
古市は耳まで真っ赤にして、口をパクパクと開けていた。
「こういうことは、はっきりされた方が嬉しいんだろ?」
「言われたら、だ!馬鹿!」
そう言うと反対側を向いてしまったが、未だに赤くなったままの耳と首が見えて、言えないなら行動で示せばいいんだ。と、男鹿は学んだのでした。
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攻めみたいな受けと、受けみたいな攻めを目指した結果です!玉砕!
べる坊が空気。