恋をすると人は変わると言いますが
玄関を開けると、見慣れない女物の靴がちょこんと、綺麗に置かれていた。
その横には、小さなリボンの付いた、姉の履き古した靴がいつもより少しだけ丁寧に置かれていた。友人の前では、さすがにいつものように脱ぎっぱなしということは、出来なかったのだろう。
そんなことを考えながら、自分もいつもより少し丁寧に並べてから、家に上がる。
リビングに入ると、お菓子を出したりコップを用意している姉がいた。
「あれ、あんた早いじゃない。」
「テスト近ぇから。」
「ふーん。」
興味なさそうに生返事をした姉が、お盆にコップとお菓子を持って立ち上がった。
「あ、今友達来てるから勝手に入ってきたりしないでよ。」
「当たり前だろ。」
そう言い置いて姉はリビングを出た。
コップにジュースを注ぎ、スナック菓子を一つ出す。それらを持って二階に上がると、女二人の笑い声が部屋から漏れていた。
一人でゲームをしていたら便所に行きたくなったので、部屋を開けたらちょうど階段を上がってきた姉の友人と思われる人物と会った。
「あ、お邪魔してます…。」
彼女はそう言って姉の部屋に入ろうとした。
俺は動けずに、扉を開けたままの不自然な形のまま止まっていた。
初めて見る銀色の髪。
白く透き通った肌。
今にもこぼれ落ちそうなほど大きな目。
一目見た瞬間、時間が止まった。体中から汗が吹き出してくる。鼓動が速い。顔に熱が集まる。
なんとか扉を閉めて、その場に座り込んだ。便所に行こうなんて気持ちは、とっくにどっかに行っていた。
「…んだよ、あれ。」
これが俺の恋の始まり。
―――――
男鹿×大学生にょた古。今回は男鹿の幼なじみではなく、美咲さんの友達です!
男鹿一目惚れの巻、です(笑)
続きそうですが、続きは気が向いたら書きます←
大学生っぽい古市とか、高校生らしい男鹿とかが書きたいです。