私は彼のことが好きだ。

人間離れした強さも、鋭い三白眼も、本当は優しいところも。

だからそんな彼の横に、ただの腐れ縁というだけで隣に立ち続ける彼が嫌いで仕方がない。

ほら、今だって。

神崎は彼を怒ったのに、謝ったのは彼の方だった。
そんな、彼の失態は自分の失態でもあるような、彼の幸せは自分の幸せでもあるような、彼とずっと一緒にいるのが当たり前のような。そんな彼が嫌いで堪らない。



いつだって彼を見てるから分かるけど、彼が見てるのはいつだって―









俺はあいつが好きだ。

本当は誰より弱いところも、いつもは鋭い眼光が笑う時は優しくなるところも。

だからそんなあいつを堂々と愛することが出来る先輩が羨ましくて仕方がない。

ほら、今だって。

神崎先輩に怒られて、少しむくれたあいつを見つめている、あの表情。
好きなのに伝えられなくて、こんなに近くにいるのに話し掛けられなくて。そんな女心が現れている。
そんな風にあいつを見つめることが出来る先輩が羨ましくて堪らない。



もしも俺が男じゃなくて女だったら、良かったんだろうか―





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腐れ縁という立場が羨ましい邦枝先輩と、もしも自分が女だったら付き合えたのかなぁって思う古市。(補足：男鹿は神崎のヨーグルッチをこぼしちゃって怒られた。悪気はないのに、神崎の怒り方が尋常じゃなかったので、むくれた男鹿。)