さよなら片思い
「なぁ、古市。」
いつになく真剣な顔で男鹿に言われた。
「なんだよ突然。」
「好きなやつに告白したいんだがどうしたらいいんだ?」
最近の男鹿はこんな様な話ばかりしてくる。
「そりゃぁまずは仲良くなるだろ。んで二人で遊んでからいいムードになったところで告れ。そうすりゃ大抵の子は落ちんだろ。」
本当はこんなこと言いたくない。
だって俺は男鹿が好きだから。
でも俺が男鹿に告ったところで振られるのは目に見えてるし男鹿には普通に女の子と付き合って幸せな家庭を作ってほしい。
男鹿にとって俺のこの感情は邪魔でしかない。
だから絶対に伝えない。
「遊びに行ったりはするけどいいムードになんなかった。」
「二人でか?」
「あぁ。」
「なんだ。」
いつ遊びに行ったんだろう。そんな話、聞いてないのに。
「だったら、何回かメールか電話してそこから言えばいいんじゃねーの。」
「そんなもんか。」
「そんなもんだ。」
男鹿が携帯をいじりはじめたので、俺もさっきまで読んでいた漫画に目線を戻し再び読みはじめる。
しかしさっきの会話のことが頭から離れない。
いつ告白すんの。
お前の好きな相手って誰。
俺の知らない間に遊び行ったりしてたの。
聞きたいことや言いたいことがとめどなく溢れてくる。その言葉達が頭の中をぐるぐる回る。回って回って回って回って、頭が痛くなりそうになった時。突然携帯が揺れた。
誰かからメールが来たようだ。相手は誰かと思い、メールフォルダを開いて見ると送り主は
「男鹿辰巳」
となっていた。
とりあえずメールを開いてみた。
『好きだ。俺と付き合え。』
その内容を理解するのに5分ほどかかりやっとの思いで声を振り絞る。
「な・・・・んで上から目線なんだよ。」
「メールで言えって言ったの、お前だろ。」
「だからって命令口調はないだろ。」
「・・・・・で、返事は?」
「え。」
「送ったんだから返信しろよ。」
「うっせぇ。ちょっと待てよ。」
今度は男鹿の携帯が揺れた。送り主は俺。内容は
『付き合ってやってもいいよ。』
「お前こそ上から目線じゃねぇか。」
「うっせぇ。」
さよなら、俺の片思い。
すみませんでした・・・!
本当はこんなオチになるはずじゃなかったんですけど。。。気づいたらこんなことに。←
男鹿←古かと思いきや、男鹿古というね。←