短編 | ナノ

気づいて、気づかないで

何故だろう。
最近、古市の機嫌が悪い。
ここのところ、ずっとそうなのだ。月曜日は普通だからいいのだが、何故か火、水、木曜日と一気に機嫌が悪くなり、金曜日には機嫌の悪さと寝不足のWパンチのような顔をしている。実際、寝不足なのだろうが。

そんな日が何度か続いていた。



その日は金曜日で、古市の機嫌は最悪だし寝不足なようで机に突っ伏して寝ていたので、優しい俺様は話し掛けないでいた。古市と話さない休み時間や授業中は暇で暇でしょうがないが、古市のためを思えば少しくらい我慢出来た。



昼休みになっても古市は寝ていたままだったので、そのまま放っておくのは気が引けて、昼飯は教室で食べることにした。

「アダー!」

ミルクを作ろうとしたら、べる坊が早くしろとでも言うように、こちらに手を伸ばしてきた。

「べる坊、ちょっと待て。」

古市は少食なので、ほとんどの場合古市の方が先に食べ終わる。だからべる坊のミルクをあげるのも古市の係となっている。
家にいる時はお袋かヒルダがやり、学校にいる時は古市がやる。そのため、俺はあまりミルクを作ったことがない。

「男鹿!べるちゃん泣きそうよ!」

「べる坊、泣くな!」

邦枝に言われて見ると、確かにべる坊の目は潤み始めていた。すると手際の悪い俺を見兼ねた邦枝が、代わりにやってくれた。

「貸しなさい!」

そうしてやっとミルクが出来上がった。何とかべる坊が泣く前に作ることが出来て良かった。

「サンキューな。」

そう言ったら邦枝は、何故か顔を赤くして口の中で何やら言っていたが、声が小さすぎて聞き取れなかった。

なんとかべる坊のミルクも出来たことだし、自分の昼飯を食べようとした時に後ろで立ち上がる音がした。古市が目覚めたのだろうと思い後ろを振り向くと、最高に機嫌の悪そうな古市がいた。

「帰る。」

そう言うと古市は鞄を掴み、扉へと向かった。

「待てよ古市!いきなりどうしたんだよ?」

慌てて古市の手を掴んだ。こんな時にあれだが、前より細くなった気がする。

「いきなり?なわけねーだろ。ここんとこ、ずっと修業とかでいねぇし、学校に来れば邦枝先輩と話したりべる坊に構ってばっかでさ、お前俺のこと何だと思ってるわけ?さっきまでずっと寝たフリしてただけだから。全部聞いてたから。」

「ふるい」

声を掛けようとしたら、手を振り払われた。
「いつも待ってる俺の気持ち、一回でも考えたことあんのか?修業とかで怪我してないかとか、すっげー心配で本当に寝れない日とかあってさ、なのにお前はいつも通りで。…もう無理だわ。お前といんの疲れる。」

そう言って古市は教室を出ていった。





ーーーーー

おがふるの危機…!←
嫉妬とか色々で疲れちゃう古市。けど男鹿は気づいてないので、というか古市が気づかせないようにしてたんだけど、溜まってしまったものが爆発しちゃった。
たまにはこんな危ない(笑)おがふるもいいかな〜と。


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