護りたいものがある
俺と古市は昔から一緒だった。
どれくらい昔かって言うと、会った時を思い出せないくらい。
それは昔も今も変わらなくて
変わっているとすればそれは―
『あ、もしもし男鹿君?君の友達今ここにいるんだけど』
という電話が古市の携帯からかかってきたのが一時間ほど前。
今は電話してきた奴も含め全員床に減り込ませてきて、古市を家まで送っていき、ついでに殴られた古市の手当をしてやっているところだった。
「ったく、来るのが遅いんだよ!」
「うるせぇ、お前が捕まるからいけねぇんだろ。」
文句を言ってきたので、消毒液を染み込ませたガーゼで消毒しているところを強く叩いてやった。
「いっ…!もっと丁寧にやれよ!」
消毒し終えたので、絆創膏を貼ってやる。
「ほれ、終わったぞ。」
「ん、さんきゅ。」
そういって古市は俺の手当したところを見た。
「…何だよ。」
「いや?男鹿も手当すんの上手くなったなぁと思って。」
昔は俺の役目だったのになぁ、とへらへらした笑いを浮かべながら古市が言った。
そう、昔は喧嘩して帰ってきた俺の怪我の手当をしていたのが古市だった。呆れながら、それでも丁寧に手当をしてくれた始めの頃は何だか恥ずかしかったがそのうち慣れ、怪我した時には保健室に行くより先に古市の元へ行くようになった。古市もそれを分かっていてか、ちょっとした救急セットを持ち歩くようになった。
しかし中学二年生になるちょっと前くらいから、俺の喧嘩での噂が広まり今まで以上に喧嘩をすることが増えた。
その頃から、俺を呼ぶのに古市が捕まることも増えた。それからは俺が古市が殴られた傷を手当することが増えた。むしろ俺の噂が増えるほど、俺が古市を手当する機会の方が増えた。なぜなら俺に真っ向から喧嘩を売る奴が減り、人質を取る奴らが増えたからだ。俺には彼女なんてものはいたことがないし、興味も無かった。さらに友人と呼べるようや奴は古市しかいなかった。ここから考えると、古市が人質に取られることは必然的だった。
最初は怪我をした古市を見て呆然とした。
俺は古市といてはいけないんじゃないかと思った。
それでも古市が俺にいてくれと言ったから。
殴られてボロボロになった体で、ありがとうと笑うから。
古市がそれを望む間は俺の変わってしまったこいつへの感情を押し殺して、こいつを傷付ける全てから守り抜くと決めたんだ。
俺と古市は昔から一緒だった。
どれくらい昔かって言うと、会った時を思い出せないくらい。
それは昔も今も変わらなくて
変わったのは俺の古市に対する感情だけで。
でもきっとこの関係はそのうち終わる。
腐れ縁なんて不確かだけど。
それでも今はそんな不確かなものに頼らなければ古市と一緒にいられないから。
いつかこの関係が自然に無くなるまでは
どうか大切な人を護らせてください
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アニバブのEDがめっちゃおがふる。と思った瞬間に書きはじめたけど、よく分からなくなった。古市の方が大人に見えて、意外と男鹿も考えてるよ!って話。