短編 | ナノ

古市女装事件

「うわぁぁぁぁ!負けたー!!」

「っし!」

ここは聖石矢魔高校の一室、石矢魔高校の教室である。その中では、壮絶な戦いが繰り広げられていた。壮絶な戦いと言ってもただのババ抜きなのだが。しかしそこは天下の石矢魔高校。不良率百二十パーセントである。負けた者には容赦がない。



「というわけで、古市君?準備はいいかしら?」

「いや無理、無理、無理です!そんな…















女装なんて!」



そう、負けた者が男子だった場合は女装、女子だった場合は男装をすることになっていた。ちなみに参加者は、東条を除く東邦神姫三人、男鹿、古市、千秋、由加、寧々、夏目の計九人。一番に抜けたのは千秋である。次いで、男鹿、邦枝、姫川、由加、夏目、寧々の順番で抜けていった。最終的に残ったのは、神崎と古市。こうしてどちらが負けても女装をすることになったので、早々と抜けていた女子達はどんな服を着せようだとか、どんなアクセを着けようだとか、楽しそうに話していた。しかしそんな会話を横に残った男二人は思った。


この戦い、負けられない…!


かくして、男二人はプライドを守るために戦った。そして決着はついた。

敗者は―

古市である。


「あなた女顔だし、あなたが負けたらやり甲斐ありそうだと思ったのよね。」

「そうですね、姐さん!」

「この花、使いますか?!」

「…。」

「い、嫌だ…!助けてくれー!」

しかし、そんな言葉で助けてくれるような心優しい人が石矢魔にいるのだろうか。

「待て!」

いや、いた。男鹿だ。

「古市を女装させるのは止めた方がいい。」

「男鹿…!」

古市は希望の光が見えた気がした。

「あら、どうして?」

「何でもだよ!」

「そんなの理由にならねぇよ。」

「よっしゃ、行くぞー!」

「ちょ、寧々さん!由加さん!うわぁぁぁぁ!!!!」

そして古市は烈努啼留のお姉様方に着替えやら何やらの為に、他教室へと連行された。



残された男四人は女装の危機が消えたおかげか、いつもよりも和やかなムードで話していた。

「古市ちゃんの女装かー。似合いそうじゃん。」

「俺じゃなくて良かった…!」

「俺は別にどうでも良かったけどな。」


「あんたらは分かってねぇ…。」

しかしそんな和やかなムードをぶち壊しにするほどの迫力で男鹿は言った。

「あ?」

「どういうこと?」

「どういうことだ、男鹿。」

意味深な発言をする男鹿を全員で問い詰めようとした。


その時。


「きゃぁ!」

突然、邦枝が教室に飛び込んできた。

「姐さん、早く逃げて!」

次いで寧々。

「ちょ、寧々さん早く入ってください!」

「…来る!」

さらに由加、千秋の順番で転がりこむように入ってきた。

「おい、どうした。」

「それが…。」

姫川の質問に邦枝が答えようとした時。

「邦枝先ぱーい、どうして逃げるんですかぁ?」

銀髪の美少女―
否、女装した古市が邦枝達とは対象におっとりとした様子で教室に入ってきた。

「これはすごいね…。」

「…おい。」

「完璧女じゃねぇか。」

夏目、神崎、姫川が感想を漏らした。しかし驚いている三人と違い、男鹿だけは焦っている。

「古市…!」

するとそんな男鹿に気づいた古市が

「あー、おがだぁ!」

嬉しくて仕方ないといったとても可愛らしい笑顔を向けた。
そして


抱き着いた。


「…!」

これには全員が驚いた。

「おがぁー。」

「はいはい。」

全員が固まっている間にも、古市と男鹿は抱き合っている―いや、男鹿が古市に抱き着かれているという表現の方が正しいだろう。

そんな中、最初に口火を切ったのは男鹿だった。

「あー、なんか古市は女装すると酔っ払った状態になっちまうみたいっす…。」

「はぁ?」

「前、姉貴が中学んときに着てた制服をふざけて着せたら、今と同じ状態になって…。」

「つまり古市君は、今酔ってるってこと?」

「まぁそうなるのか…?」

すると今まで男鹿に抱き着いていた古市が体を離して

「おが!うわきしてんじゃねぇよ!」

と、舌足らずな声で男鹿を怒った。

「別に浮気じゃねぇし…。」

「うそだ!」

「はぁ。ったく、ちげぇっつってんだろ。」

すると突然古市が泣き出した。

「古市?」

「…だって、おがのまわりにはひるだ、さんとか、くにえだせんぱいとか、いるし…いつかおれすてられるんじゃないか、ってふあんで…!」

そういった古市を今度は男鹿が抱きしめた。

「俺が古市以外好きになるわけねーだろ。」

「だって…。」

「いいから寝とけ。」

な?と言って、男鹿は古市の背中を叩き睡眠を促す。

「おが、」

「何だ?」

「ずっとここにいて…?」

「当たり前だろ。」

「ん…。」

そして古市はあっという間に眠った。



さて、空気と化していた六人だったが全員が頭の上にクエスチョンマークを飛ばしていると、正に渦中にいた人物が声を発した。

「つーわけで、俺帰るわ。」

「え…?古市君はどうするの?」

男鹿の発言に対し答えたのは邦枝である。

「寝たら元に戻る。」

「…そうなんだ。」

「じゃ。」

そして男鹿は古市をおんぶして、自分と古市の荷物を持って帰って行った。



男鹿が帰ると緊張の糸が解けたように話しはじめた。

「どういうこと?」

「何なんだ、あれ。」

「いやー、古市ちゃん可愛いね。」

「男鹿、古市君と付き合ってたんだ…。」

「姐さん!」

「はぁー、あいつ面白いっすね!」



これにて古市女装事件の閉幕とさせていただきます。





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お い ! ! ←


女装したら変な風になる古市が書きたかっただけなんです…!そしたら無駄に長くなった。←いつもすいません。←
いつかリベンジしたい…!

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