弟を迎えに行くと言う彼と北千住で別れた後、パニックになり電車で一人大泣きしてしまった。初めて見る表情がたくさんあった。北海道に帰る前夜の、彼の慟哭が今でも耳から離れない。

それから彼と何度か会って、最近はいつものように飄々としてることも増えたけれど、ふとした時にはいつも考え事をしているようで、そこにわたしが立ち入る隙なんて微塵もなくて、どうしてあげればよいか全く分からない。何かをしてあげたい、という感情は、ともすると暴力になりかねない。エゴでしかないこの葛藤を伝えることも、また押し付けにしかならず、わたしがしたいのは、「彼を癒やすこと」ではなく、「彼を癒やせる人間になること」であることを知り、自らの情けなさに途方に暮れている。

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