狭間で

休みが終わってからのDAの会合では、皆のやる気がまた一段と上がっていた。ついに守護霊の呪文を始めたのだ。

「うまく形にならないわ…」
「自分が生きていた中で一番幸福だった事を思い出しながら作るといいよ」
「うーん…もう一度見本を見せてくれない?」

ラベンダーが眉間に皺を寄せながらやるので、それでは作れるものも作れないだろうと、私は一度深呼吸してから呪文を唱えた。

「わあ…」

銀色の狼は必要の部屋を駆け巡り、私の足元をぐるりと一周し、消えた。一瞬部屋は静まりかえったが、またすぐにみんなが練習を再開した。

「この調子だったら、次回にはみんな出来そうだね」
「うん、守護霊が出来たら、次は何をしようか?」
「今までの復習を兼ねて決闘クラブみたいのをやるものいいかもね」

会合を終え、図書館で宿題に使う本を探す。少し離れた本棚の隙間から、かすかにチョウの声がした。その方向にはハリーがいたはずだ。ちらりと覗くと、ハリーの横にチョウがいて―――

「コウキ」
「ひ!」
「ごめん、脅かすつもりは無かったんだけれど」
「セ、セドリック…こっちこそごめんなさい」
「いいや、何か探し物?」
「宿題で使うやつをね。セドリックは?」
「君が図書館に入るのが見えたから」
「へえ…」

なんとも言えない雰囲気に包まれ、私は適当に相槌を打ちながら本を探すフリを続けた。後ろから突き刺さるんじゃないかという程のセドリックの視線は私を動揺させた。
なんていうか、アレだ。私はこういうのが苦手なタイプだ。なんでこうもチョウとセドリックはタイミングが悪いかな!

「コウキ」
「うん!?」
「今週のホグズミード、誰かと一緒に行く約束はしてる?」
「えっ、別にしてないけど…?」
「そう、よかった。じゃあ一緒にいかないかい?」
「え?セドリックと?」
「駄目かい?」
「だ、駄目じゃないけど―――」
「じゃあ決まり。それじゃ」
「え、あ、待ってセド―――ぶ!」

後ろ姿を追いかけようと歩みを早めた所で、急に止まったセドリックの背中にぶつかった。何かと顔を覗けば、複雑そうな表情。その視線の先にあったのは―――

「…」
「…」
「セド…」
「ん?」
「…」
「あ、急に止まってごめんね。鼻大丈夫?」
「ええ、私は…」
「それじゃ」

もう追いかける事はしなかった。セドリックが切ない表情で見ていた先にいたのは、ハリーとチョウ。人の目を盗み、本棚に少し隠れてキスをしている二人だった。正確には、チョウがハリーを襲ってる…って感じだけど。

ホグズミードの日は、何も言わずセドリックについていこうと決めた。

prev / next

戻る

[ 99/126 ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -