年上ビルが意地悪
「名前ってエッチなこと嫌いじゃないよね。」
その言葉は情事のあとの幸せなまどろみの中でぼんやりしたあたしの思考を一時停止させるには十分だった。
でも、ここで黙りこんだら負けだ。だってそんなことをしたらあたしが照れているってビルにばればれだから。なんだかそれは悔しい。
ベッドの中であたしの足に絡まっているビルの足を右足の親指で上から下になぞって、ビルの腕枕から抜け出してそのままビルの首元にすり寄る。空いた腕枕をしていた方の手であたしの頭を優しく撫でられるのが心地良い。
「うん…嫌いじゃないよ。」
あたしがまだホグワーツの学生だった頃はあたしたちはまだプラトニックな関係だったし、その上あたしはまだ処女だった。キスもそれ以上のことも全部ビルとだけ。そう考えればあたしをこんな淫らな女に変えたのはビルだ。
「ビルとするのが好きなの…ビルだけだから…」
「うん、僕だけだよ…」
約束だよ。そう言ってビルはあたしの瞳を見つめている。心配しなくてもあたしはビルにしか興味がないのにね。こういう雰囲気、俗に言う良いムードの時ってなぜだかわからないけど急にお互いの目が合ってそのまま吸い込まれるみたいにキスが始まる。
「ん…」
薄くくちびるを開くとビルの舌がぬるり、と入ってくる。そのままお互いの舌を擦り合わせたり、吸ったりする。ときどき、ぢゅ、といやらしい音が聞こえてきてなんだかエッチな気分になってくる。
やっぱり、あたしエッチなことするの好きかも…
なんだか思考回路まで淫らになってしまう。
「んっ…ふっ…んん……ビル…もっと、」
ビルはあたしの言葉に返事は返さなかったけれど、あたしの腰を撫でていた手をそのままお尻に移動させて撫で回している。ときどき、お尻の割れ目に沿ってビルが手を進めてきて女の子の大切な場所をゆるゆると刺激してくるから思わず声が出てしまった。
「っ!やっ、あっ…んっ…」
「名前、また濡れてきてる…」
「あっ…ん、だってぇ…ビルが…っあ…」
もっと、触って欲しいのにビルはあたしが声をあげるとすぐにお尻に戻って、またその先へを繰り返してくるからもどかしい。
ここで、もっと、なんてねだったら淫乱な女だと思われないだろうか。欲望とは裏腹にあたしの理性が躊躇する。
「ビル…」
「どうしたの?」
素直な気持ちを言葉にできないままあたしはビルの名前を呼んで懇願する。
ビルは全部わかっているくせに、どうしたの?と笑顔を湛えて見つめてくるから本当にずるい。
ねえ、お願いビル意地悪しないで…、だってあたしをこんな風にしたのはビルなんだから。
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