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「そういえば名前さん、今日が最後の任務でしたっけ?」
「そ、名前には散々文句言われたけどねえ〜」

そう言って、カカシさんは眉毛を下げて苦笑いをしながら頭を掻いた。でも、その顔がどこか幸せそうなのは名前さんのことを本当に大切に思っているからだろう。

「けど、妊婦だからって過保護すぎなんじゃないっすか?講義くらいさせてやればいいのに。」
「ま!そーしてやりたいのは山々なんだけど、名前ってどう見ても人妻には見えないでしょ?」
「まあ……。」

「だから、心配なんだよね。」と続けたカカシさんにオレは呆れて物も言えなかった。
先月、火影であるカカシさんと結婚したばかりの名前さんはまだ22歳だ。それに加えて彼女はどちらかといえば、童顔なので到底人妻には見えない。

今となっては昔のことだが、彼女が色事任務におけるプロフェッショナルだったことは周知の事実で、それにかこつけて彼女に言い寄る男は後を絶たなかった。(もちろん、あのカカシさんのことだからそういう連中は、なにかしらの制裁が加えられていたのだろうけど。)

「……カカシさん、まさかとは思いますけど故意に孕ませたとか言わないでくださいよ?」
「相変わらず、怖いこというね。お前は。」
「そりゃあ、あのはたけカカシともあろう人が結婚よりも先に子供、なんて聞いたら疑いたくもなりますよ。」
「ははは、手厳しいね。」

相変わらず読めない表情でにこにこ笑うカカシさんに溜め息しかでない。

「はあ…オレが上層部にデキ婚だってこと隠すのにどんだけ苦労したと思ってるんすか……」


体裁ばかり気にする上層部の人間には、若い名前さんとの結婚を不審に思う連中も少なくなかったのだ。 さっきも言ったが彼女は色事のプロフェッショナルだった。それゆえに、実はスパイなのでは?などとあらぬ噂まで立つ始末であった。

疲れたように項垂れて毒づくと、カカシさんは「いやぁ、優秀な部下がいてくれてオレも助かるよ。」なんて言った。まったくこの人は。

これからもオレの心労は増えるばかりだ。