牛乳がすきなんですか。
「………」
先輩は最近いつも牛乳を飲んでいる。
「……うみゅ……」
そして大体今みたいな言葉を発し、フランスパンを食べ始める。
もきゅもきゅと咀嚼する様が可愛い。
「ぅ…っ、」
うわ、牛乳苦手なのかどうか分からないけど少し苦しそうな顔して牛乳飲んでフランスパン咥えてる先輩エロい。
「…」
漸くフランスパンを食べ終えたようで、先輩は席を立つ。可愛いなもう。
「?……!」
あ、目があった。と思ったら目を見開いた先輩。
「チェスロック…?」
「えっあ、はい」
はいじゃねぇよ、良く考えたら影からこっそりパン食べてる先輩を見てるとかオレ不審者じゃねぇか。
「あ、えっと
…先輩牛乳がすきなんですか」
何 聞 い て ん だ よ オ レ
「…別に。何で」
「最近良く牛乳飲んでるので…」
ムスッとした顔で睨まれる。
背小さいから小動物みたいで可愛い。
「レ……が」
「?」
「レドモンドが、“バイオレットは背が小さくて可愛いな”って…」
え、何をいまさら「…背、低いの気にしてたんですか?」
「っ、」
ぎっとそれはもうマジで獲物見つけた狼みたいな目で睨まれた。恐かった。
「…あの」
「そうだよ、何?良いよねチェスロックは平均で!!ボクと同じくらいだしね!何も気にしてないだろうし!!」
珍しく声を荒らげた先輩に驚いた。そんなに気にしてたのか、すみません可愛いって言って。でも事実なんです気付いて。
「えっ、あ、すみません…先輩…」
「……………」
ふい、とそっぽを向かれた。全てはレドモンド貴様のせいだ、先輩だろうと許さねえあの前髪野郎
「先輩、」
「……ふん」
…これはもう強行するしかない、むしろチャンスだ、と
「っえ、や…チェスロック…?」
ぎゅうう、と先輩を抱き締めた。
「ねぇ、」
「先輩はこのままのほうがいいですよ」
「それ遠回しにチビって言ってる?」
「まあたしかに先輩は平均より小さいかもしれませんけれど、」
そう伝えて先輩の首に一つキスを落とした。
「このくらいのほうが、いろんな事しやすいですから」
「…っ!!」
顔を真っ赤に染めた先輩がその顔を隠すように俺にさらに抱きついた。
「ばか」と言った後に小さく呟かれた言葉も、位置的に同じ位の身長なら聞きやすい。
「オレもですよ、先輩」
もう一度首筋にキスを落とした。
160215
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