何かがおかしい。
そう気がついたのは目を覚ましてから夜を迎えるのをもう何回繰り返したかすら分からなくなった頃だった。
皆いない?
俺だけが、いる?
本当に?
本当に俺が“いて”
逆に皆が“いない”のか?
これまでの事もおかしい。
何で戦も終わった今でも、こんな服を来ている俺を見て誰も足を止めない?
何で俺のお腹は空かない?喉も渇かない?どうして、普通なら、普通なら…
「あ、」
パリン、と何かが割れるような音が頭の中に響いた。
「ああ、」
全部、思い出した。
全部、全部。
「あは、ははっは!」
失クシテタ
探シテタ
トテモ大切ナコトヲ…
「あは…は…」
俺が此処にいる意味を
「何で、分かんなかったんだろうな…」
動ケナイ
ソノ理由(ワケ)ヲ
俺ダケガ違ッテイル
「いや、気付かなかったんじゃねぇ」
ずっと
逆らい続けてきた事
「気付きたく、なかった。」
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