〜黄瀬&青峰の場合〜
「ただいまー」
電気が点いていない、ということは誰もいないようだ。
(あー……夫婦旅行とかなんとか言ってたような)
好都合だ。
「青峰っち、着いたっスよー」
背中にいる暖かい塊の返事がない。
「青峰っち?」
「すー、すー…」
(寝てるし)
どうしよう。
青峰はしっかりとしがみついている。剥がそうにも剥がれないだろう。
手を離しても落ちないっぽいし、大丈夫かな?
おそるおそる手を離す。うん、大丈夫だ。
「晩ごはん、何が良いっスかね…?」
青峰が喜びそうなもの。かつ、先ほど練習してきた自分の腹がふくれるもの。そして、今家にあるもので出来るもの。
冷蔵庫の中身を調べ、しばらく考えて結論を出す。
「よし、カレーっスね」
カレーなら、前に調理実習で作ったことがあるから、完璧だ。
「うっし、やるっスよー!」