ここは占い信者の集まる湖。
 テレビに釘付けなのは雉です。

『今日の蟹座のあなたのラッキーアイテムは《木彫りの熊》です!』

「な、なん……だと!」

大袈裟なまでに絶望しています。どうやら、木彫りの熊を持っていない蟹座の雉だったようですね。

「……君が求めているのはこれかい?」

そんなところに救世主よろしく登場したのは我らが桃太郎・征十郎様です。
雉に木彫りの熊を差し出しています。

「そうなのだよ。その木彫りの熊を、譲ってはくれまいか?」

「いいよ? だけど、条件がある」

 まるで悪徳業者のような微笑みを浮かべながら、条件を提示します。

「僕たちと一緒に鬼退治に行くなら、この木彫りの熊を君にあげよう」

チラリと征十郎と愉快な仲間たちを見ます。
笑顔が恐ろしい厨二病に、鎖に繋がれた黄色い犬………。

(い、嫌なのだよ……!)

嫌でしょうとも。
私だって嫌ですよこんなパーティー。
あと、あなたの左隣をご覧なさい。

「なにを……!?」

バニラシェイクを飲んでいる猿を忘れてますよ。

「さぁどうする?」

悪徳厨二病が訊いてます。
早く答えないと、あの方がハサミであなたの背中の翼を切り落としてしまいますよ?

「……背に腹は変えられん。ついていくのだよ」

様々な葛藤を押し込めて、ついていくことに決めたようです。
木彫りの熊なんて、意外とどこにでも売っているのに残念な雉です。

「君の名前は?」

「緑間真太郎だ」

完全にパーティーを完成させた征十郎は、黄瀬・黒子・緑間の三人(三匹?)を連れて、鬼退治を遂行するようです。
鬼ヶ島に到着したらどうなることやら。



次のページはあとがきです!

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