「「ごちそうさまでした」」
「美味しかったですか?」
「うん、すごくおいしかった」
滅多に見せない満面の笑みで赤司が笑う。
「よかったです。……赤司君、口の端にご飯粒がついてますよ」
黒子が指摘すると、ぺたぺたと口の回りを手探りで探すが、ピンポイントでご飯粒に触れない。
「じっとしていてください」
そういうと赤司はピタリと止まる。
何をするのか分かっていない表情だ。
「……はい、取れました」
黒子はご飯粒を取ると、そのまま食べる。
「あ、ありがと」
ちょっぴり照れながらお礼を言う赤司に、黒子はまた心の中でガッツポーズをした。なんという役得。
「ご飯も食べましたし、お風呂に入りましょうか」
「ぼく、パジャマもってない」
「大丈夫です。僕が前にバザーに行ったときに買ったものがありますから」
もっとも、くださいと言っても気づかれず、お金を置いて商品を持って帰ったのだが。
「さぁ、お風呂はあっちですから、先に服を脱いで入っていてください。僕は着替えを持ってきます」
なんだか嫌な予感がする赤司だが、黒子に背中を軽く押され、渋々お風呂に向かったのだった。