Novel
アン・ラスフ
『セシル』
「なんですか?」
ワタシがサイキとアグナパレスを訪れて、半月がたったころ、ワタシの部屋にサイキが訪れました。
『俺の楽器の弦が緩んだみたいでさ。セシルに張り直して欲しいんだ』
サイキの楽器は、竪琴。この楽器はサイキが手作りした、こだわりの楽器だと言っていました。
「ノン! アナタの方が、とても上手です!」
『俺は、セシルに張り直して欲しいの。ダメか?』
上目遣いで見つめられると、断れません。
「ダメ、ではありませんが……」
『ほいじゃ、よろしく』
「…わかりました」
一本一本、丁寧に弦を張り直します。
『………アン・ラスフ』
「私の、魂?」
『そ。セシルにアグナパレスに連れてきてもらって、初めて覚えたアグナパレス語の単語が、《アン・ラスフ》。私の魂って意味だったよな』
「エクセレント! サイキは、とても言葉を覚えるのが早かった。一週間で日常会話が問題なく出来たのは、素晴らしいです」
サイキの上達はとても早く、今では皆とアグナパレス語で、たくさん会話しています。
『えへへ、さんきゅ』
「ワタシは、まだ日本語があまり上手ではありません。羨ましいです!」
『セシルもかなり上手いと思うよ?』
「ショウジン、します。……でも、なぜ今、アン・ラスフと言ったんですか?」
『その竪琴は、俺の魂だから。言葉よりも相手の心に「俺」を伝えてくれる、大切な自分の一部だからだよ』
「彩輝の、魂……」
『音楽に国境は関係ない。そうだろ?』
「そうです。サイキの竪琴の音は、心を絹で包まれたような気分になります」
『嬉しいけど照れるな…ありがと』
「できました! 鳴らしてみてください」
『おう。試しに一曲弾いてみよう』
サイキが弦を弾いた瞬間、フンイキが変わった。
優しい音がワタシを包み、微睡ませます。
『うん、良い音だ。ありがとうセシル。あ、そうだ! 一緒に弾かないか? 中庭でさ』
「イエス! もちろんっ」
『きっと楽しいぞ。そうと決めたら早速行こうじゃないか!』
サイキとのセッションはとても心地よく、素晴らしいものでした。
周りには自然と人が集まり、皆、目を閉じて聞き入ってくれる。
いつか、ST☆RISHやハルカも一緒に、アグナパレスで演奏したいです。
セシルの日記みたいになってしまった←
とりあえず友達以上恋人未満な二人が書きたかったのです。