Novel
犬の伯爵様



 今、私の部屋にはカミュがいる。……ということは、前々からやりたかったアレをやるチャンスだ。

『カミュ』

「嫌だ」

『まだ何も言ってない』

「貴様の考えることなどお見通しだ愚民」

『じゃあ言ってみろ』

「それをオレに着けるつもりだろう」

 私の手にあるもの……それは──

『イエス! 犬耳を着けるつもりだ!』

「却下だ愚か者」

『何でよ伯爵!』

「そんなこともわからんのか」

『私は犬耳のカミュを見たいの!』

「悪趣味だな」

『……カミュの馬鹿』

「……なんだと? もう一度言ってみろ」

『バカミュ!』

「縮めるな愚民。ほぅ……オレが馬鹿だと?」

『日本にはアメとムチっていう言葉があります。でもカミュはムチばっかり。私のやる気メーターがマイナスになりそうだよ。そんなこともわからないのかバカミュ』

「…………」

『だから犬耳を着けてください』

じー、と見つめる。

「……着けてやるには条件がある」

『え、なになに? 何でもするよ!』

「……なんでも、だな?」

 …………あれ、失言?

『あー、でもー、無理なものもあるっていうかぁー』

「なんでも、だと言ったな。ならばお前はうさ耳を着けろ」

『着けないよ誰得だよ』

「俺得だ」

『ざけんな。どこで覚えたその言葉。つか持ってないし』

「寿だ。確か美風がウサギに扮したときに着けていた。まだ持っているだろう」

『やだ誰かこの変態を退治して。ついでにれいちゃんも』

「なんでもと言ったお前が悪い」






『カミュの変態っ』

「……流石にバニーガールの格好をしろとまでは言わなかったハズだが←」



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