Novel
押して駄目なら引いてみろ
[見つめるだけで……]の続き的な?
「トーキーヤー。聞いてよー」
うるさい。とにかくうるさい。先程からずっと話続けているのに、疲れないのでしょうかこの男は。
「……………………」
「あのね、今日久しぶりに彩輝と話したんだよ!」
返事を返していないのに勝手に話を始めるのも、その話題が彩輝であるのも、いつものこと。
「…………………」
「でね、大好きって言ったら『そうか、オレは君が苦手だ』って言われたんだぁ。彩輝、きっと照れ隠しにそう言ったんだよ。やっぱり、そういう言葉は、二人きりの時に言わなきゃだよねー」
「……知っていますよ。隣にいましたから」
本を読むことを諦め、音也に向き直る。
「え? トキヤいたの? ごめん、全然気が付かなかった!」
「……はぁ……で、なんです? なにか相談があるのですか? ないなら他を当たりなさい」
「あるあるあるある! あのさ、もっと彩輝と仲良くなるにはどうしたらいいかな」
私が思うに、彩輝は音也のことを避けているようです。なので仲良くなること自体が不可能だと思われますが、そんなことを言ってしまえば明日の彩輝の身が危ない。
「そうですね……」
それならば。
「押して駄目なら引いてみたらどうですか?」
(相手も大喜びですよ)
次の日、彩輝は音也がおとなしいといつも以上に挙動不審でした。
一応、ストーカー・音也シリーズは終わりです(シリーズだったのかよ、という質問は受け付けません)
お粗末さまでした(笑)
お題配布元さま・確かに恋だった