Novel
女装‐それは…



それはさかのぼること数時間前。
 楽屋でくつろいでいたST☆RISHの面々を、マネージャーである俺の周りに集まらせた。

『今から撮影するバラエティーには、ST☆RISHのみの予定だったんだが、例によって社長がその場の気分とテンションだけで、嶺二たち先輩組も加わることになったそうだ』

 シャイニング早乙女から言われた言葉を一句違わず言うならば、「予定が空いていて暇そうなので、そちらに向かわせマース! BUT、企画は知らせてありますので、心配ナッシング。ミーも向かいますから、それまでがんばってチョーダイ」だそうだ。
 ふざけてんのか。
 社長命令じゃなかったらバックレてたところだ(リューヤさんに怒られそうだけど)。

「OK。ランちゃんたちも一緒に戦うんだね」

今から撮影するバラエティー番組は、アイドル同士がチーム戦で得点を競い、得点が低かったチームは女装をしなくてはならないという、簡単かつ過酷な企画がウリの番組だ。
 両チーム同点の場合はこの番組を企画したシャイニング早乙女がどちらが女装するのか決めるらしい……が、正直どうでもいい。
どのチームが女装しようが関係ない。視聴者が楽しければ良いのだ。
 俺はマネージャーだから女装しないし。

『それにしても女装か。翔、やるまえから嫌そうな顔するなよ。……ちなみに、Aクラスと友千香、Sクラスとセシルで別れて、そこに嶺二と蘭丸がAに、藍とカミュがSに入る』

「渋谷もやるのか。周りは男だらけだと言うのに……そもそも渋谷は女だろう。女装の意味がないではないか」

 真斗がチラリと友千香をみやる。

『男だらけだからこそだろ。まぁあれだ、掃き溜めに鶴ってヤツだよ。友千香は女装の代わりに男性用の社交ダンスの衣装を着てもらう。男性用の胸元はがっつり開いているから相当恥ずかしいぞ』

「え、まじ?」

 友千香の顔がひきつる。
 仕事だ、諦めろ。

「つか俺たちアイドルなんだから、掃き溜めはやめろよ掃き溜めは」

『翔がそんなにフリッフリのミニスカナースが着たいとは思わなかったなぁ』

「ごめんなさい」

『許す』

まぁ、翔はほっとけばいい。そのうち男気全開にして腹をくくるだろ。

『よし、嶺二たちも準備出来たみたいだし、撮影してこい。がんばれよ』

「「「「おー!」」」」




戦いは接戦だった。Aチームが点を取ると、Sチームも負けじと点を取る。逆もまたしかり。
 途中で友千香が足を挫き棄権したものの、勝負はつかず、結局、最終戦で決着をつけることになったのだが。
その最終戦というのが……

「Mr.ソラカミをミーから奪い返してクダサーイ! 見事Mr.ソラカミを救った暁には……Mr.ソラカミに女装をしてもらいマースぅBUT、助けたチームにしか見せませんのでがんばってチョーダイ! Miss.シブヤは怪我をしているので、不参加デース。チームが勝ったら女装を見せますから安心するがいいデスゥ」

 本人の承諾まったく無しでその場のノリで社長が決めた、社長に抱えられた俺を助けるゲームだった。

『ちょっ社長!? 俺聞いてないんだけどっ』

「今言ったので問題ありましぇーん!」

『大有りだ馬鹿シャイニー! 俺はテレビなんか出たくねぇんだよっ』

なんて社長と言い合っていると。

「彩輝の女装……見たいなぁ」

「あぁ、俺もだ」

「僕も見たいですー」

「ここは、チームは関係なく、協力した方が良いのでは?」

「ボスは協力してはいけないなんて言ってないからね」

「よっしゃ! やろうぜ」

「ミューズ、ワタシに力を……」

「レイちゃん頑張っちゃうもんねっ」

「俺は興味ねぇが、まぁやってやるか」

「蘭丸、嘘ついたね。彩輝の女装って聞いた瞬間に心拍数が跳ね上がったよ」

「ふん、愚民どもが。しかし、アイツの女装は貴重だしな。参加してやろうではないか」

「よし、みんな決まりね! あたしは応援するわっ」

 なんて声が聞こえてきた。テメェら自分たちがアイドルだってわかってるんだよな!?

『決まりねっ、じゃねぇよ!! なんでノリノリなんだよ意味わかんねぇよっっ』

「「「「彩輝(くん)の女装見たいから(ですから)」」」」

『お前ら自分たちがアイドルだって本当に忘れてないか!?』

 もうやだこいつらのマネージャーやめたい。

「HAHAHAHAHAHAー! では用意スタートぅ!!」

社長が飛ぶ(この時点で社長は人間じゃないと思う)。
 俺が泣く。
 チームとか関係なくみんなが追ってくる(なんでお前らそんなに必死なの?)。
 俺が嘆く(いろんな意味で)。
 社長が分身する(やっぱり人間じゃn[略])。
 俺が分身に耐えきれず社長酔い(車酔い的なやつ)する。
 一旦休憩。
 そして再開。
 ST☆RISHが足止めをし、カルテットが捕獲しに来る。
 藍がついに推進式鉄拳制裁装置(つまりロケットパンチ)を発射。
 社長が避けて俺に当たる。
 俺の意識ブラックアウトのお知らせ。
 そんなことはお構い無しに続行(酷くね?)。

 結果──



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