「………早乙女学園、やっぱり大きいなぁ。昨日も来たけど慣れねーわ」
日傘を差し、サングラスをかけた青年が、大きな校舎を見上げている。
──伝説のアイドル、シャイニング早乙女が学園長を務める、倍率200倍のアイドルと作曲家を養成する超難関の芸能専門学校『早乙女学園』の前に、俺……仰上彩輝は立っていた。
周りには、真新しい制服を着た同級生が記念撮影をしたり、早速クラスを見に行ったりしている。
「まさか受かるとはなぁ…」
俺は、この学園の作曲家コースを受験し、合格したのだが……多分受けた理由を聞いたら、落ちた人たちに呪われる。
(アイドルオタクの姉に、いつの間にか勝手に受験させられてたー、なんて言ったら、マジで殺されるな)
まぁ、元々曲を作るのは好きだし、折角受かったんだから目一杯楽しんでやる!
クラス分けが張り出されている掲示板に群がる人たちを掻き分け、クラスを確認する。
「俺のクラスは……っと。Aクラスだな」
新しい出会いの予感に心を踊らせながら、俺はAクラスの教室を目指した。
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