とある夏の日。


暑い夏の日の白鳥宮。
ブルーアーとレドモンドは先程二人でどこかへと行ってしまった。

その為今、白鳥宮にいるのは前で死んだ目をしているバイオレットだけだ。

「暑い…」

ぐったりとしたバイオレットが視界にうつる。
ぼうっとした目で何処か遠くを見つめるバイオレットは夏が嫌いだ。

春、夏…秋と冬はまだマシだが、「日…やだ…」と言いながらすぐに日陰へと移動するほどだから、夏真っ盛りな今日の日などは地獄なのだろう。
今日はどこの寮の生徒も皆暑さでぐったりしていた。

「あー……」
「バイオレット大丈夫か?」
「駄目無理全然だいじょばない…」

消えゆく声で言うと、ソファに寝っ転がった。

「……………」
「……………」
「……………グリーンヒル」


ぼそりと呟かれた名前に「何だ」と返事をする

「…キミ見てると暑苦しいから取り敢えずフランスパンになって」
「おいバイオレット本当に大丈夫か?」

ヤバい、本気で思考回路ショートしてるんじゃ…

「……ねぇ…」
「ん?」

ちら、と横になった状態で目だけをこちらに向けている。
バイオレットは体質なのかあまり汗をかかない為、余計に体に熱がこもるのだろう。
そのせいか頬に赤みがさしていて、どこか色っぽかった。

「こっち、来て…」
「え、な、っあぁ」

慌ててしまい声が裏返った。俺の阿呆。

「…むー…」

ぴと、と手を握られた。
バイオレットの手は冷たくて気持ちいい。

「意外」
「何がだ?」
「…結構冷たいんだね。見た目と共に手も温かいと思った。」
「そうなのか?
自分の手の温度なんてそんな気にしないからな…」
「なんだっけ、手が冷たい人は心が温かいんだっけ」

ぺたぺたとバイオレットが俺の手を触る。つまり軽く言うと俺とバイオレットの手は繋がってるわけで、

…あ、意識したら緊張してきた。

「?大丈夫?グリーンヒル」
「え!?あ、あぁ」

そういうとバイオレットは訝しげに目を細め、また手に視線を落とし、両手で握った。

「…もうちょっとだけ、このままで」
「………あぁ」

そういうとバイオレットはそっと目を閉じた。



--*--*--*--*--*--

「ん?
…まだ俺達は邪魔だったようだな」
「…そうだな」
「!?
れ、レドモ、ぶる、」
「「取り敢えず落ち着け」」
「ん…っどうしたの、ぐりーんひる…」
「い、いやなにも!!」
「……あの二人、もう出来てるんじゃ」
「だよな、俺達みたいに」


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