Call my name!
「ハーマン」
「ぐ…グレ…」
「…………」
「ぅ…」
「…ヘタレ」
うがっと声をあげるグリーンヒル。
横ではレドモンドがけらけらと、ブルーアーは薄く笑い、目の前にいるバイオレットは目を細めている。
「名前呼ぶの、そんなに恥ずかしい?」
「ああああっ当たり前だろう!?」
校則違犯だぞ、と焦るグリーンヒルに再度溜め息を吐いた。
「…ゲームみたいなものだし、別に良いでしょ」
そう、ウェストン校の生徒は今日一日だけ、好きな生徒とペアを組み、"名前"で呼び合うという良く分からない決まりが校長から出された。
…今の臨時校長なら言いそうな決まりだ。
「もう…面倒臭いんだけど」
「む…す、すまん…」
しょぼんとしているグリーンヒルに再度バイオレットは溜め息をついた。
「でも本当、一回は呼べるようにしてね?罰掃除はやだ。」
「あぁ…そうだな…」
そう、更に一日たっても呼び合えない場合は何故か罰掃除。何故Yでは無いのかは校長の気紛れだ。
ブルーアーとレドモンドは共に頑張れと声掛けし、どこかへと行ってしまった。
「……チェスロックとミッドフォードですら呼び合ってたよ?」
「だ、だが」
「……もう…」
バイオレットは何でそんなに恥ずかしいかなーと言い始めた。
「はい、グレゴリーって言ってみて。さんはい」
「ぐ、グレゴ……う…」
「…むぅ…」
むすりと不貞腐れたバイオレットが徐にソファから立ち上がった。
「?どうした、バイオレット」
「それ。」
グリーンヒルの方へとくるりと振り返ってバイオレットは言い放った。
「もう良いよ。
お互い違う人にしよ」
「…!?」
もうこのままじゃ埒あかないでしょ。
そう言って白鳥宮から出ようとしたバイオレット。
「なっ待、グレゴリー!!」
「!!」
腕を掴んでバイオレットを止めるグリーンヒルに目を見開く。
「すまない、頑張ってグレゴリーと呼べるようにするから…」
「………」
「…その、お前じゃなきゃ」
嫌なんだと言うグリーンヒルにバイオレットはくすくすと笑い始めた。
「名前、呼べたね」
「え?」
「…ありがと、ハーマン。嘘だよ、ボクもハーマンじゃなきゃ嫌だから…ね?」
「え、…………っ!!!」
やっと自分が名前を言った事を思い出したのか、顔を真っ赤にしたグリーンヒルに再びバイオレットは笑った。
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罰掃除は免れたが、その後再び校長が気紛れで“好きな人と告白しあう”という物を開催して、二人はまた苦戦し始めるのだった。
「…う…す、すき…」
「…お、俺は…」
「…きらい?」
「…違……おおお俺はっ、バイオレットが大好きだぁああああ!」
「!!…馬鹿…」
「…あれが俗に言うばかっぷるというものか?」
「だろうね
…ブルーアー、愛してるよ」
「なっ!?」
後書き→
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