まるで魔法のように


「…グリーンヒル、今日って空いてる?」

白鳥宮のこと。
後ろにいる自分の恋人に問い掛けると、こちらに目を向け「すまない…」と言った。

「今日は用事があってな」
「…今日も?」
「ああ。」

ここ最近二人で会う事が殆ど無い。
休憩の時間も休日もグリーンヒルは用事があるようで、いつも断られる。
何か少しイライラして「ふぅん、そう。」と投げやりに返事をした。
ボク達の会話を聞いていたレドモンドが苦笑い気味に口を開く。

「グリーンヒル、もう少し恋人との時間を作ったらどうだ?俺達みたいに」
「おい、レドモンド」

ブルーアーがつっ掛かるが、軽く流しため息を吐いた。

「可愛い恋人がいるのに用事用事と…
浮気でもしているのか?」

まあ、ある訳ないなと笑ったレドモンドに眉を顰める。縁起悪い事言わないでよ。

「…するわけないだろう」
「まあ逆にバイオレットに愛想つかれたらお終いだから気をつけろよ」


…………浮気、ね…
相手がしてない限りする事は無いよ。

ちらりとグリーンヒルを横目で見た。








「ったく、緑寮の監督生の野郎は何考えてるんスかね、バイオレット先輩の誘いを断るなんて!」

横で何故か怒ってるチェスロック。
いや、まあ…確かにボクもイラッとはきたけど用事だし、仕方無いよ、と笑う。

「先輩優しすぎますって!
俺だったらとっくのとうにキレてますよ」

だろうなと思う。
キレてるどころか平手打ちはしてそう。
想像したら面白くて笑ってしまった。

「?先輩?」
「いや…何も…」

相手はグリーンヒルの寮弟らへんかな、とも思った。…そしたら平手打ちじゃすまなさそうだけど。

「じゃあ今日はどうす…っ!」

前を向いたチェスロックが目を見開いたのでボクもそっちを向く。


「…え…」

紫寮にいるボクの一つ下の後輩とグリーンヒルが楽しそうに歩いている姿が見えた。


 

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