※レドモンドとブルーアーは幼馴染み設定
※黒執事の世界でも登場しているので、電話など普通に出てきます
ボクらはあの日、取り返しのつかない罪≠犯した。
ボクらは間違えていないと思い込み、伝統というものを翳して行なった正義という名の罪を。
それが良かったのか悪かったかなんて考える余地もなかった。
人を殺めてしまった罪の重さなんてもちろん分かっていて、それでもただ、学園を、伝統を守れた≠ニいう考えで自分を正当化した。
あの日ボクらは裁かれた。
ただしボクらにくだったものはただの放校処分だった。
軽いものに見えて、実際は檻の中に放り込まれる事よりも辛いことなんじゃないかと思った。
罪を犯したボクを見るチェスロックの目は、それでもまだどこか希望を捨て切れていないかのような瞳だったのを覚えてる。
バイオレット先輩、と紡ごうとする口を見てから、ボクはチェスロックの頭に手を置いてただ一言"ごめんね"と呟いた。
どの寮弟も真実を受け止められないようで、特にグリーンヒルの寮弟はずっと俯いて肩を震わせていた。
放校処分、つまりボク達はウェストン校から追い出される。
そしてボクら監督生の繋がりも断ち切られる。
実を言うとレドモンドとブルーアー、そしてボクとグリーンヒルは俗に云う恋人同士で。
レドモンドとブルーアーは幼馴染みだからなのか、家も近いようで、今横で「今度ロレンスの家まで行こう」「…そうか、待っている」なんていう会話をしていた。
「なぁ、バイオレット」
「…なに?」
ぼうっと横のレドモンドとブルーアーのやり取りを眺めていると、唐突にグリーンヒルから声をかけられた。
「…もうすぐ、離れ離れになるな」
「まあ…ボク達住んでる所、全く違うから遠いしね」
ちら、と横の二人を除き見る。いいなぁ、近いって。
「その、」
「ん、なに?」
「……離れていても、バイオレットは…」
ここまで言って不安げに俯いたグリーンヒルを見て、何を言いたいのか大体見当がついた。
「もちろんグリーンヒルのこと忘れないし、嫌いになんかならないから安心して」
「!…そうか、ありがとう」
「そのかわり」
「?」
「グリーンヒルも、ボクのこと忘れないでね」
そう言うとグリーンヒルは笑って「ああ、勿論だ」と言った。
離れていても
(またいつか、会える日まで)
ねくすととぅあとがき!
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