その日から一週間。

バイオレットと俺は一度も会話をしていない。

レドモンドが「痴話喧嘩か?」とニヤニヤしながら聞いた時なんか、バイオレットの目が恐ろしかった。

獅子や狼すら威圧するぞあの目は。

あの後はレドモンドとブルーアーも静かになってしまったし、何故か俺がバイオレットに少しでも近付くと寮弟のチェスロックがこれまたもの凄い目で睨んでくる為話すことは愚か、近付く事もままならなかった。

いやまあ、チェスロックの事が無くともあの日のことがあったし話せない。

バイオレットに避けられる日々。
いや、俺が避けているのか?

バイオレットを見る度にあの日の様に傷付けては駄目だと思い自ら離れるようになった。

バイオレットが何故かこっちを見ていたこともあったが(これは決して自意識過剰じゃない。ミッドフォードも「見てますけど…先輩どうするんですか?(グリーンヒル先輩も良く見てるけど)」とか言っている)、俺に目を合わせる権利は無いだろう。

少なくとも、謝りもしていない今は。

次会う時は謝らなければ…そう思って一週間が過ぎた今日の朝の事だった。


「…あ…」
「……おはよう、グリーンヒル。」

緑寮の前に誰かいたから誰だろうと見に行ってみると、それはバイオレットで。
下を見つめてあー、とかうーとか唸っているバイオレットに謝らなければと思った。

「…その…えっと、」
「…っこの前はすまなかった!」
「え?」

がばっと頭を下げた。
バイオレットはきょとん、とした顔をしている。

「え、あの、」
「本当に、すまない…
俺はバイオレットに嫌われたくないんだ」
「……え?いや、あの、」

逆にグリーンヒルがボクのこと嫌いなんじゃないの…?

そう不安げな声が耳に届いた。


「…は…」
「…だってこれまでも、話し掛けてくれないし…目も合わせてくれないし、
ボクのこと、嫌いになったから避けてるんでしょ…?」
「な、そんなわけ無いだろう!
俺はまたお前を傷付けてはならないと思って…」
「…良かった」

ぎゅうっと抱き着いてくるバイオレットに目を見開いた。なんだこれ、夢か?夢なら覚めないでくれ。

「ボク、グリーンヒルに嫌われたんじゃって…だ、から、…っあやま、らなきゃ…って、」

所々言葉が途切れているバイオレットに首を傾げる。肩も少し震えていて、

「この前、は、ごめ、…ふぇ…っひ、く」
「!!?」

良くみるとバイオレットは泣いている。
…え、なんだ、これどうしたら良い?

「わわわわ分かったから俺はだだ大丈夫だからららおおおちちゅっ、おちつけ!」
「…あはっ、グリーンヒルこそ、落ち着いてよ」

やっと笑ってくれたバイオレットに俺の頬も綻ぶのを感じた。


いに避け



「畜生…お前の所の監督生、バイオレット先輩にくっつき過ぎなんだよ!」
「それを僕に言うな!
というかなんで僕達はこんな茂みから先輩方を見ているんだ…?」
「んなの決まってんだろ!
バイオレット先輩に何かあったらあの緑ハゲ容赦しねぇぞ…」
「お前は娘のバイオレット先輩を嫁に出す父か」

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