次の日も、次の日も。

「よし、じゃあ探そっか」と言いながらバイオレットは律義に毎日俺の所へ来る。

「紫寮…んー…?」

同級生の事を指差して「彼?」と聞いて来るバイオレット。…お前の事なんだけどな。

「違う」
「もう…誰?教えてよ」

むすっとした顔を見せるバイオレットに胸が高鳴る。

それと共に、このままだと“いつか俺の好きな人がバレてしまうのでは無いか”という気持ちも芽生えた。
もしもバイオレットに俺が好意を持っているとバレたら?
このままの関係でいられるだろうか。
…嫌われて、しまうんじゃないか。

「…バイオレットは、」
「?」
「何で俺の為にここまでして探ろうとするんだ?」

その俺の言葉にバイオレットの瞳が少しだけ揺れた。

「……気紛れ。だってグリーンヒルが好きな人とかどんな子なんだろうって」
「別に俺と一緒にいなくても良いじゃないか」


「───は…?」

隣りにいるバイオレットから洩れた、低い、そして微かに震えている声にはっとした。

「…それってつまりどういう意味?」
「え、」
「ボクが一緒にいると嫌なの?邪魔だった?…そうだよね、好きな子探すとか…迷惑だもんね。

ボクの気持ちなんて、知らないだろうし」
「違っ、そう言う意味じゃ…!」
「……ごめん、今言ったの忘れて…気にしないで良いから。
言い過ぎちゃってごめんね。


──今日はボク、もう行くから」

くるりと踵を返すバイオレットを引き止めようにも体が動かなかった。





今の関係を壊したくないと思ってとった行動が
関係をバラバラと悪い方向へと壊していった───……


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