昨日あの後は先輩に会う事が無かった。
同じ寮で、今はまだ寮弟であるから普通は有り得ない。あからさまに避けられているということは分かる。
だから、さっき先輩にちょっと後で来てと言われてすげぇ緊張してる。
寮弟を解消されんのか、罵られるか。
あの時のオレの口を縫いたいと溜め息をつくと先輩が来た。
「もう来てたんだ」
「まあ…要件はなんスか?」
「昨日の」
ああ、やっぱりと思った。
「…避けたり、返事出来なくてごめん」
「…先輩のせいじゃないっスから
あの時は本当にすみませんでした」
「今はまだ返事は出来ないし、少し態度も変わっちゃうかもしれないけど…良い?」
え?、という間抜けな声が出た。
どういうことだ?今はまだ?…良いって?
「どういう、」
「そのままの意味。
返事は絶対返すから」
「…寮弟解消とかは…」
「するわけないでしょ」
ボクにはチェスロックしかいないし、という言葉に先輩を凝視した。
「…何、そんな見ないでよ」
頬を赤く染めてふいと顔を逸らす。
「…!!先輩っ」
「な、」
やべぇ抱き締めちまった。もぞもぞと身動ぎする先輩に小さく笑う。
「返事、待ってますから」
「…うん」
「勿論無理っていう言葉も、奇跡か何か起きて良い返事だったとしても」
「ポジティブなのかネガティブなのか分からないよ」
「どんな返事であろうと、先輩から言ってくれるまで俺、待ちます」
「…………うん」
だから、と少し強く抱き締めた。
「…今は、このままで」
「………」
何も言わなかったが、静かに先輩もオレの背中に手をまわした。
先輩から言ってくれるまで俺、待ちます
それからオレ達が先輩と後輩ではなく、
恋人同士になったのはつい最近のこと。
後書き^д^→
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