いつも通りの白鳥宮での風景。
ブルーアーは本を読み、レドモンドはソファに横になり優雅に喋り、バイオレットは飲み物を混ぜては飲み「…イマイチ」と呟いている。
その中で俺もいつも通りトレーニングをしていた。



「……そうだ。」

ふとレドモンドが楽しげなトーンで言葉を発した。
皆思い思いのことをしているが、きちんと話は聞いている。

「皆は好きな人とかいるのか?」

「「「……え」」」

ブルーアーは本をバサリと落とし、バイオレットは飲み物を零し、俺はダンベルを落としかけた。
レドモンド以外はぽかんとした顔で発言者を見つめた。

「だから、好きな人はいるか?」
「好…!?こ、ここは男子校だぞ!?」
「知り合いに女性は一人位いるだろう?それに…まあ、男でも構わないしな。
俺らはもう18だ、恋愛なんて当たり前じゃないか」

さらりと言われる言葉。
…好きな人…
確かにこの学校は男子校。
それ故同性のカップルだっている、という事くらいは知っている。
皆が皆同性愛者では無いが、いるのも事実だし、見た目はまるで女子の様な者も(主に紫寮に)多くいる。
恋をしていてもおかしくはない。

「…そういうレドモンドはどうなの?」
「俺かい?いるよ」
「ふーん…。……………………え?」

広げたばかりのスケッチブックを落とす。その反応は仕方が無い。

「レドモンド貴様、どういう…」
「この学校にいるよ。
…どうしたんだ、ロレンス?」
「…いや。
それにしても本当なのかレドモンド」
「あぁ。
…1年の時から好きだった奴だよ」
「………っ」

さすがにブルーアーの様子がおかしいのは分かった。ファーストネーム呼びにも反応しない。心なしか声も震えている。
そこまで衝撃的だったのだろうか。

「ロレンスは?」
「…いないに、決まっているだろう」
「……そうか。
バイオレットは?」
「ボクに聞くの?
いるわけ無いでしょ。」
「ならグリーンヒルは?」
「なっ…」

言葉を詰まらせる俺を見て、レドモンドはにやりと口端をあげた。

「…へぇ…グリーンヒルがいるのか…」
「なっ誰もそんなこと言ってなッ」
「残念だけど、それ肯定してるようにしか聞こえないよ。」

バイオレットの一言にうぐぐ…と唸った。

「で?相手は?」
「いいいいい言う訳ないに決まっているだろう!!」

にやにやと笑うレドモンドに声を荒げると笑いながら首を振った。

「お前のことだから分かりやすいだろうし、これから探れば良いか」
「分かりやす…?!」

そんなことはないと言おうとすると、軽く服の裾が引っ張られた。そちらに目をやると、いたのはバイオレットで。
こちらをじっと見つめ
「好きな人いるなら協力してあげる」と言った。

「…!!!」
「ね、グリーンヒル」
「ぁあ、ありがとう…」

くす、と笑うバイオレットに胸が高鳴った。




「…まさかこんな早くに分かるとは」
「…確かに分かりやすいな…」


(∵){あとがきー]→



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