くく、と笑う声に眉を顰める。
しゅるりとタイも外し、ベストを脱いでボタンに手をかけた。

「………っ」
「あれぇえ?どぉしたんですかぁ?!」

まさか逃げちゃう!?なんていう後輩を睨み付ける。どうして、お前なんかに。

「…っ、」

一つ一つゆっくりとボタンを外す。
目の前の男は一層顔を楽しそうに歪め、息も荒いのが分かった。

気持ちわるい、きもちわるい。

三つ外した所で我慢出来なくなったのか、体を密着させてきた後輩に鳥肌がたった。
自分よりも背が高い後輩に何も出来ない。

「ひ…っ!!」

ぬめりとした感触が首筋を駆けた。
それが後輩の舌と気付くと背筋が凍った。

「ぃや、やだ…っ!!やだぁあ…っ!!」

涙を流す。それを見た後輩の息が荒くなったのが分かった。
やめてよ触れないで。グリーンヒルが撫でてくれた所を汚さないで。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるいきもちわるい!!!

「や、やだ…やだ、助けて、助けてよ、」
「助けなんて来ないんですから楽しみましょうよ……くくっ」

何を想像したのか笑う男に涙が溢れる。

やだ。やだ。誰か、

「グリーン…ヒル…」







ガッという音と共に目の前にいた男が地に伏せていた。

「ぁ……あ…」
「バイオレット!!」

聞き慣れた声がした方をすぐに振り返る。

「ぐりーんひる…?」
「大丈夫か!?…っくそ、もっと早く気が付いていれば…」

そこまで言って、グリーンヒルに蹴られたらしい後輩が起き上がった。

「〜…こ、校長に言いつけてやるよ!お前らは退学だ!!良いのか!?」
「!!そんな、」

グリーンヒルだけはと言おうとすると目の前が暗くなり、背中にまわる大きな手で抱き締められていることに気付いた。

「言え」
「なっ!?」
「!?」

何を、と言おうとすると強く抱き締められ言葉を発する事が出来なかった。

「言えばいい。
だが俺は、今日の事も話す。

退学になろうと、バイオレットにこれ以上触れるのは恋人である俺が許さん」

今すぐ失せろという目に後輩は震えながら逃げていった。

その場には写真だけが残っている。

「……すまない」
「…?」

ぴら、と写真を一枚手に取る。

「俺を庇ってくれたせいで、お前が…っ」
「…ボクが望んだことだし、良いよ」
「だが…!」
「何よりも、さっきの言葉嬉しかったし、ね。」
「…当たり前だろう」

赤い顔でボクをまた抱き締める。

「もし退学になろうと、俺はお前を離さない…絶対だ」
「………うん。


4.

当たり前だ、と強く抱き締めたグリーンヒルの背中にボクも手をまわした。

アトガキ_(^p^」∠)_→



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