「チェスロック、肩貸して」

ベンチに腰掛け、オレの返事を全く聞かないまま肩に凭れるバイオレット先輩。
それだけで心拍数が上がるオレは結構なヘタレだなと最近よく思う。…いや好きな人に凭れかけられたら誰でも緊張するか。

「ん…」
「先輩、眠いっスか?」
「……ん」

完全に寝る気モードな先輩。
いやでもこの後も授業とか色々ある。
少し…いやかなり残念だが先輩を揺さぶり起こす。

「先輩駄目っスよ、授業…」
「やだ」
「いや先輩監督生だし」
「いい。寝る。」

駄目だ駄々を捏ね始めてしまった。
夜型と言うんだろうか、紫寮の殆ど皆は朝よりも夜の方が断然活動的だ。紫寮らしい。
それは先輩も同じで、よく昼頃になると今日のように寝かける。

「先輩」
「……」
「まだ聞こえてますよね、起きて下さい監督生とその寮弟が揃いも揃って無断欠席なんて他の寮に知られたら…」
「良い。チェスロックと寝たい」

不覚にも可愛いと思った。いやいつも思ってる。…何かオレ変態みてぇだな…

「…襲いますよ?」
「チェスロックはそんなことしないでしょ」

さらりと言われた言葉が胸に突き刺さる
先輩は鈍感だ。変な所で鋭いくせに。

「…オレだって男なんですよ?」
「ボクも男だよ」

いやそうだけど。

そういう意味じゃなくて、と言おうとしたがついに限界がきたのか、バイオレット先輩はすやすやと寝息をたて始めた。

「ああもう…」

もういいや、と先輩が寝やすい体勢のまま、オレも少しリラックスする。

説教は後でたっぷり受けてやるから、今はこのまま寝てしまおう。



オレ



その後寮監に見つかって揃って怒られた。


(´・ω・`)っ後書き→



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