お買い物は戦争。スーパーは戦場。 (2/3)
な、何なのだよここは!!
スーパーに一歩入った瞬間。
──圧倒された。
『豚肩ロース値引きを…』『あっちよ!』『魚はまだなの!?』『押さないでよ!』『っ! 足踏んだの誰っ』
主婦たちがより安い品を巡って戦争を繰り広げていたのだ。
横にいるものを押し退け、前にいるものを掻き分け、セール品に群がっている。
「……………」
「………………」
さしもの高尾も頬がひきつっている。俺にいたっては言葉すら発せずにいた。
「ひ、怯まずに行かねば…」
ここで引き下がれば、今日1日ずっと不幸に見舞われるにちがいない。
ただでさえ6位などという微妙な順位なのだから。
「真ちゃんマジ勇者。流石はエース様」
尊敬の念を込めてこちらを見つめる高尾に、宣告する。
「何を言っている。お前も行くのだよ」
「え゛」
道連れ宣告。別名・死の宣告(ゲームから名を取ったわけではないのだよ)。
「行くぞ!」
高尾を引き連れ、主婦たちの戦争へと身を投じた──。
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