結果の必然性B | ナノ


2012-06-25


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 ベッドの縁に座った俺の足元に跪いた朝比奈は、激務でくたびれたワイシャツのボタンを一つずつ解いて行く。

「なぁ、朝比奈」
「なんですか?龍一郎様…」

 出来ない秘書を宛がわれたのは、自分が社長の息子で、お飾りだと思われているからではないのか?
 執務室に括り付ける為じゃないのか?
 然して、面倒で目障りな存在なのではないか?

「お前は、俺の事、面倒とか思ってないか?」

 いつも強気な井坂龍一郎でも、人間である以上、弱音を吐き、時に後ろ向きになる。
 他人にそれを見せる事は絶対にしないが、時々それを吐き出さないと、精神衛生上とても悪い。
 専務になり多忙の日々をおくる俺の中から、久々の甘い時間に“本当の自分”がムクッと顔を出してしまう。

「面倒ですよ」
「…っ!」
「龍一郎様は、面倒な方です。
 ワガママで、傲慢で、俺様で…」
「あーさーひーなー!」

 朝比奈の言葉にムカっとなったが「でも、そんな貴方を丸ごと愛しています」などと言われれば、その眼差しに赤面してしまう。

 単純だ…俺と言う人間は…。

「私は、貴方が貴方でいる限り、全てを捧げて愛します」

 ドクドクと音のする胸に掌を当てられる。
 この強い拍動が朝比奈に伝わっているだろうか?

「愛しています、龍一郎様」

 当たり前に向けられる朝比奈の甘い言葉は、俺の為だけに存在する。
 他の奴には絶対渡さない。

「…っ…ん…あっ…」

 俺の拍動を朝比奈に伝えていたであろう手が、胸の上の実をクニっと摘まむ。
 そして、反対の実は口に含くまれ、クチュクチュと音を立てて吸い付かれる。

「ん…あっ、…やっ…」
「もう、硬くなってますね、気持ちイイですか?」

 俺の声に、応答するように朝比奈は舌先で、突起を何度も擦る。
 硬くなった実を舌先で押しつぶし、それを柔らかく撫でる様に弄られる。
 プクっと主張する胸の飾りは、朝比奈に愛してほしいと強請る様に赤く色付く。
 指先で転がし、周りの柔らかな皮膚とまとめて優しく摘ままれると、朝比奈の指先に反発するその芯からジンジンとくる快感がたまらない。

「……っ、はっ…あん…」

 ズズっとはしたない音を立てて吸い付かれる。
 薄い皮膚が引っ張られて、少しの痛みと共に、快楽がやってきて、腰の奥が徐々に重くなって行く。

 普段は意識する事なんてないのに、こうして弄られると、まるでスイッチがONになるようだ。
 勿論、それをONにしてイイのは、目の前の恋人だけ…。

「何か、考え事ですか?」
「ん、いや…おまえ、そこ好きだなぁ…って」
「好きですよ、龍一郎様の身体ならどこでも」
「…っん…あっ…」

 再び胸への愛撫が始まる。

 口元から聞こえる音。
 器用に動く指。
 サラサラの髪を撫で、頬に手を当てと、煽る様にその目が俺を見る。

 ああ、食い潰されそうだ…。

 そんなセクシャルな口元から目を離せないで居ると、まだ触れられていない身体の部分が形を変えて反応していく。
 ソレを朝比奈は見逃さない。
 俺の後頭部に手を回すと少々強引に引き寄せ、問いかける。
 耳元に宛てられた唇から漏れる息さえも艶っぽくて、入り込んでくる声と共に俺の身体を熱くさせる。

「前がイイですか?後ろがイイですか?」

 悪魔の囁きにも似たその声色に、ゾゾっ背中を這い上がる何かが口から漏れるように「どっち…も…」と朝比奈に返答した。

「ワガママな人です、貴方は…」

 少し困った様に笑った朝比奈はそう言って、チュッチュッとリップ音を立てながら、首から徐々に目当ての場所まで、まるで道筋を付ける様にキスを落としていく。
 跡なんか残らない程度のキスなのに、触れられた場所は熱い。

 そして、腹部まで辿り着くと、慣れた手付きでバックルを解き、下着の上からでも形が分かる位に変形した俺の熱に触れる。

「…っふ…ん…」

 敏感な部分の刺激に、鼻から息が漏れる。
 朝比奈は、仰ぐ様に俺の顔を見て薄く微笑むと「たくさん愛して差し上げます」と、それにキスする。

 コイツは、時々本当に意地の悪い顔をする。
 嫌いじゃない、寧ろ好きだ。

 この男のこんな顔、他の奴には絶対見せたくない。

「ッ…あっ…」

 身体が一気に熱くなる。
 俺さえも見た事のない部分に朝比奈は触れ、キスをして、そして優しく優しく解いていく。

「…かをるぅ…」

 甘える様に呼べば、頬笑みを返してくれる。

 抱きにくい男の体なのに、朝比奈はゆっくり確実に高みへと俺を連れて行く。
 面倒なんて素振りは一切見せず、ただ真摯に、俺だけを見て、愛していると甘い言葉を囁きながら、その最奥に熱を送り込んでくる。
 一体何を考えているかと問えば、必ず「貴方の事ばかりです」と返され、それが真実か問う前に瞳の奥に俺しか映って無くて、思わず胸がキューッと苦しくなってしまう。

「好きです、龍一郎様…」

 忠誠心にも似た何か特別な想いを注ぎ込まれ、俺は朝比奈からの気持ちで溺れそうになる。
 そこに不安など存在しない。


 当然の様に側に居ると思ってた。
 頑張った結果は“必然”ではないのか?
 なぜ、俺の隣に居ない…。

 愛される感覚に溺れてイイのであれば、四六時中、側に居て欲しい。
 ずっと側に居て…。
 もっと側に…。


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【Bのパス】
朝比奈が、龍一郎様の雄っぱいを攻めた時の効果音。
ひらがなだったら二文字。

pass付きを飛ばす方は→こちら


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