柔らかなキス@ | ナノ


2012-04-29


 ミニマムなミステイク。
 過去を大胆に捏造!!
 イメージ壊したらごめんなさい…。
 朝比奈薫の独白とちょっと被ります。


+++


 夢に堕ちた恋人の腕から抜け出した龍一郎は、キッチンの冷蔵庫から500mlペットのミネラルウォーターを取りだした。
 周りはまだ暗く、深夜2時を回ったところだった。
 ゴクゴクと水を飲めば、声を出し過ぎて乾いた喉が潤っていく。

 情事直後に一度給水したのだが、その時は、飲む事もままならないくらいに疲れていて、それを補う様に龍一郎は容器の半分ほどを一気に飲み干した。

「にしても、ちょっと頑張り過ぎたか?」

 久々の営みとあって、龍一郎も朝比奈も頑張り過ぎてしまった感がある。

 龍一郎は、目の前のシンクにペットボトルを置くと、自分の腰を撫でて、苦笑する。
 そして、自分を欲してくれるあの目を見てしまったら、自分でもコントロールできない位に欲情してしまう…そう、あの目が悪い!!と、頬を膨らます。


 グルグルと頭の中で、昨夜の回想をしていると、背後に気配を感じて振り返る。
 勿論、この部屋に居るのは、龍一郎と朝比奈だけだから、振り返れば朝比奈が居る事くらい、龍一郎もわかっている。
 だから、別段驚く訳でもなく、龍一郎は寝室の入口に凭れかかる朝比奈に向かって「なんだ?」と声を掛ける。
 いつもなら、『身体は大丈夫ですか?』『お腹は減っていませんか?』などと、世話焼きな言葉が聞こえるはずなのだが、些か様子がおかしい。
 いくら照明の付いていない暗い部屋とは言え、龍一郎に声を掛けられれば、それなりに返事をするだろう。
 しかし、朝比奈はピクリとも動かない。
 そんな朝比奈に、はて?と思いながらも、龍一郎はシンクに向き直して水を飲む。
 が、途中で手を止め、ペットボトルを放り出し、朝比奈の元に駆け寄る。
 シンクの中に放り出された容器は、ゴゴンと何度かバウンドして、その無防備な口からよく冷えた水を排水溝に垂れ流した。

「朝比奈?おい朝比奈?」

 龍一郎は暗くてよく見えなかった朝比奈の顔を覗き込む。
 ボーっする朝比奈の目から一筋の涙。

「朝比奈??」
「りゅういちろうさま…」

 その声は少し震えていて、龍一郎はその態様に目を見張る。

「薫!薫!大丈夫、ココに居るから!」
「りゅういちろうさま…」

 縋る様な朝比奈。
 龍一郎は、力いっぱい朝比奈を抱き締めた。


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