所有物の苦悩 | ナノ


2012-02-16


純情ロマンチカ3巻act.4のあのセリフから妄想。


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「離せって!」
「静かになさい!」

 高級レストランのエントランスを龍一郎様の首根っこを掴んで引きずり歩く。
 大の大人がみっともない…。

 ただ、龍一郎様が宇佐見先生に言った一言が私の中で、グルグルと回る。

 『いつまでも 意地張ってないで 俺のモンになれよ』

 私の何が不満なのですか…


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 今でも、龍一郎様が私に対して向けている気持ちは慕情などではなく、単なる所有欲じゃないかと思うときがあります。

 無論、それを嫌だとは思っていません。
 それならそれで、私が受け入れるのみ。
 嫉妬心などというものは、支配欲や独占欲の現れであって、私などが持ってはいけないモノだと重々承知しています。

 ですが、そう頭で分かっていても、どうにもならないときがあります。

 どうすれば…
 どうすれば、龍一郎様の、貴方のお側に居続ける事が出来るのでしょうか…


+++


「あ、あれは、秋彦をからかっただけで…それに…」

(…わかっています……)

「それに、俺の側に居ていいのはお前だけだ。
 そんな解り切った事、今更言わせるな」
「…はい、申し訳ありません」
「じ、実際問題、秋彦がお前のポジションに居てみろ!
 仕事にならんだろ!
 それに、あんなワガママ野郎に俺の下僕が務まるとも思えん」
「…クスっ…。
 確かに、そうですね」
「わ、笑うな!朝比奈のくせにっ!」
「龍一郎様のワガママに付いていけるのは、私くらいかもしれませんね…」
「…なっ…」
「違いますか?」
「ち、違わねぇけど…」
「龍一郎様…」
「ん?」
「一生、龍一郎様のお側に置いてください」
「…ああ、黙って、俺の側に居ろ」
「はい…。
 でも、黙っていたら、龍一郎様の仕事が停滞するので、ある程度は口を出しますが…」
「そこも込みで黙れ…」
「承知し兼ねます」











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