抱いた夢の果てに[3]
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「脱がせて?」

白い褥の上。
横たわった彼女が、そう言って俺を見上げる。
その身体に覆い被さった俺は、震える左手で彼女の帯を解いた。
その間にも、俺の首に腕を回した彼女は下から唇を寄せてくる。
彼女の唇が触れた箇所全てが、発火したかのように熱を持った。

そしてようやく、彼女の着物と襦袢の合わせを開く。
月明かりに照らし出された、濃艶な曲線を描く肢体に息を呑んだ。
傷一つないその裸体に、視線が吸い寄せられる。
初めて見た女子の身体は、どこまでも官能的だった。
それは、彼女だからなのだろうか。

言葉を失くした俺の下、彼女が手を滑らせて俺の腰から帯を外す。
やがて着流しが肩から外され、下帯一つの状態にされた。
勿論分かってはいたものの、気恥ずかしく居た堪れない。
下から彼女に全身を眺められ、いよいよ羞恥心で消えてしまいそうになった。
だがそれと同時に、この状況に堪らないほどの興奮を覚える己がいることも自覚していた。

その証拠に。

「っ、」

不意に感じた、あまりに直接的な快楽。
衝撃を受けて思わず視線を下げれば、彼女の細い指が下帯越しに俺自身をなぞっていた。

「…く、ぅ…」

腰が砕けそうになり、褥に突いた両腕に慌てて力を込める。
彼女は微笑むと手を離し、俺の耳元にそっと囁いた。

「触って、いいよ」

はっとして上体を起こす。
その途端、それが何を意味するのかが理解できた。
眼下に見た彼女の身体、その、ふくよかな白い乳房。
恐る恐る、俺は左手でその膨らみに触れた。
その柔らかな胸は、何の抵抗もなく俺の手の中で自在に形を変える。
その甘美な感触に、俺は右手をも彼女の胸元に寄せた。
両手で揉みしだくと、伝わってくる吸い付くような肌の感触。

「ね、舐めて、」

まるで、その言葉を待っていたかのように。
身体が勝手に前屈みになり、彼女の胸の頂を口に含んでいた。
どのようにすれば良いのかなど、何も分からぬ。
ただ感じるがまま、思うがままに舐めていると。

「少し、吸って…そう、唇で挟んで……たまに軽く歯を立てて、」

頭上から降ってくる、彼女の艶めいた声。
その言葉に従っていると、彼女の呼吸が乱れ始めた。
感じて、くれているのだろうか。
そう思うと、無上の悦びがあった。

「っ、」

不意に、再び感じた下肢への刺激。
気が付けば、彼女の手が俺の下帯を取り払っていた。
解放された自身が、勢い良く反り返る。
すでに激しく興奮したそれは先端から先走りを零し、快楽を拾おうと震えていた。
その怒張に、彼女の白い指が絡まる。
その倒錯的な光景に眩暈がした。

「…ぅ…あ…っ、は、っ」

かと思えば上下に扱かれ、眩暈どころではなく脳天で光が弾けたような錯覚を起こす。
耳に届く卑猥な水音と目の前の妖艶な笑みに、あっという間に理性が吹き飛んだ。

「一度、イって?」

ついに力を失った両腕が崩れ、彼女の上に上体を倒した俺の耳元。
吐息と共に告げられた台詞に、呆気なく欲望が弾けた。
腹に感じた、飛び散った熱。

「す、すまぬ…っ」

震える手をついて必死に身体を起こせば、当然のことながら彼女の胸や腹の上に白い欲望がたっぷりと掛けられていて。
慌てて謝罪すると、彼女はくすりと笑った。

「いっぱい、だね」

その台詞に、再び顔に熱が集まったのが分かった。
恐らく耳まで真っ赤だろう。
俺は何も言えず、彼女が起き上がって枕元にある手拭いを取り、身体を大雑把に拭うのを見ていた。

「大丈夫?」
「も、問題ない…」

褥の上、彼女と向かい合う。
あまりに恥ずかしいことを除けば、その回答は真実だった。

「なら、続けるね」

そう言って、彼女は突然俺の方へと身体を寄せ。
驚く俺を他所に、胸の突起に唇を寄せた。

「…っ、」

予想外の出来事に、俺は仰け反る。
だが腰に回された彼女の両腕は、俺に逃げることを許さなかった。
舌で転がされ、舐め上げられ、突然甘噛みされて、また柔らかく包み込まれる。
まるで、これが正解、と言わんばかりに。

「…はっ、ぁっ…、ナマエ…っ」

男がこんなところで感じるなど、知らなかった。
先ほど果てたばかりの俺の欲望は、あっという間に力を取り戻し再び天を仰ぐ。
その昂りを不意に扱かれ、まさかの二箇所を同時に攻められる快楽に、俺は情けないほど髪を振り乱して身悶えた。

「…ひぅ…っ、あ、ナマエ…ぁあっ」

このままもう一度果ててしまう、と、そう思った時。
突然に刺激が止み、俺は途中で放り出された快楽に腰を震わせた。

「…ナマエ、何故…っ」

もっと欲しい、と。
無意識に強請った俺に向かって、差し出された手。
掴んだ俺の手を引いて、彼女は後ろに倒れ込んだ。

「次は中で、ね?」



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