A Happy New Year !!恐らく皆、飲みすぎていた。
数えるのが嫌になるくらいには床に散乱した、ビールの空き缶、ワインとシャンパンのボトル。
テーブルの上は、ピザの空き箱、デリカテッセンのパック、もうどれが誰のものかなんて絶対に分からないフォークとスプーン。
カウントダウンが終わり、未成年組を無事に自宅まで送り届けて。
大人たちだけでもう1度始めた、今度はニューイヤーパーティ。
空が白み始めるまで、とことん飲み続けた結果。
虎徹さんとアントニオは重なり合って床に伸びている。
ネイサンはカウチで優雅に足を組んだ、その体勢のまま眠りの世界へ。
キースは、一体どこから調達してきたのか、焼酎の一升瓶を抱えて廊下で眠っている。
そして、バーニィは。
「頭、割れそうです」
アルコールのせいで、見事に掠れた声。
自慢の眼鏡はずり落ちかけ、いつもは綺麗に肩口で跳ねるハニーブロンドはぐしゃぐしゃ。
つい先程まで寝ていたボトルの海から何とか脱出してきた彼は、そう言って本当につらそうにこめかみを押さえた。
まったく、飲み過ぎだ。
かく言う私も、若干記憶が曖昧になるくらいには飲んでしまっている。
ふと意識が戻った時には、周りは皆して夢の中だった。
ちょっと、年甲斐もなくはしゃぎすぎた自覚はある、が。
「でも、楽しかったね」
そう感想を零せば、バーニィはあからさまに眉を潜めた。
「俺はですね、貴女と2人で新しい年を迎えたかったんですよ」
わかっていますか、勝手に皆を呼んで、と。
だが私は知っている。
なんだかんだバーニィだって、楽しんでいたくせに。
「はいはい、ごめんね」
でもそれは言わないでおく。
「お詫び、どうしてくれるんです?」
ご機嫌をとってみたら、調子に乗られた。
まったく、まだ酔っ払っているらしい。
「どうしてほしい?」
でもそこに乗っかるあたり、私もまだアルコールが残っているのかもしれない。
それとも、空き瓶から立ち昇るワインの匂いのせいか。
「そうですね…では、まずは一緒にシャワーにしましょうか」
思わずビールの空き缶を掴んで投げつけそうになった、私は悪くないはずだ。
確かに皆寝ているが、だからってこれだけ人のいる所で一体何を言い出すのか。
そもそも、まずは、ってなんだ。
その後に何が続くかなんて、考えたくもなかった。
でも、ちょっとだけ、その悪ふざけに乗っかるのも、悪くない。
「じゃあ、まずは脱がせて」
さあ、驚いた顔を見せて。
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