白銀の波に揺られ[3]床に落ちていた、昨日脱がされたのであろうバスローブと下着を着て、とりあえず洗面所に。
顔を洗って、歯を磨いてからキッチンへ。
コーヒーメーカーをセットして、その間にリビングに吊してあったワイシャツを羽織る。
再びキッチンに戻ると、少し厚めに切られたブレッドを2枚取り出して。
トースターに放り込んで、3分にセット。
昨夜のうちに用意しておいたサラダのボウルを冷蔵庫から取り出して、小さな器に盛りつける。
ついでに卵を2つとベーコンを出してきて、フライパンに油と一緒に落とした。
やがて、コーヒーとトーストの匂いがキッチンに充満した頃。
寝室からバーニィが出てきた。
「おはようございます、ナマエ」
ひょこりとキッチンに顔を出したバーニィは、もうすっかり目が覚めているようで。
「おはよう、バーニィ」
ママレードのジャムが入ったビンを片手に、バーニィとおはようのキスを。
彼は柔らかく微笑むと、ダイニングに向かった。
我が家のダイニングとキッチンは、対面式のカウンターで繋がっている。
そのカウンターの上に出来上がった簡単な朝食を乗せれば、バーニィが向こう側からテーブルに下ろしていってくれた。
最後にコーヒーを入れた揃いのマグカップを持ってダイニングに行けば、ちゃんとお皿が並べられていて。
向かい合って椅子に腰を下ろした。
トーストにマーガリンとジャムを塗る。
バーニィの好きなジャムがママレードだと分かってから、我が家の冷蔵庫に常備されるようになったそれ。
甘味とほんの僅かな苦味が、口の中に広がった。
朝食を平らげて、お互いにちゃんと服を着て。
「行きましょうか」
バーニィが振り返って笑う。
「ん、行こっか」
玄関でもう1度キスをして、それから外に。
揃ってマンションを出て、バーニィの車でアポロンメディアまで。
「今日は早く終わりそうですか?」
「うん、多分。企画会議が夕方には終わるはずだから、遅くないと思うよ」
「なら、夕食は一緒に?」
「そうだね。どこか食べに行く?」
「ナマエの手料理がいいです。ナマエが疲れていなければ、ですけど」
「いいよ、分かった。じゃあ、仕事が終わったらバーニィの家に行くね」
「はい。…楽しみ、です」
「ふふっ、何食べたい?」
「そうですね…、シチュー、かな」
「ビーフ?ホワイト?」「ホワイトシチューがいいです」
「了解しました、バニーちゃん」
「貴女はどうしてそこでふざけるんですか、もう」
ほら、今日も1日頑張れそうだ。
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