君が失った全てのもの[4]手できゅっと包み込めば、バーニィの肩がびくりと跳ねる。
お湯が濁っているから、私の動きに予想がつかないのだろう。
そのまま手をゆるりと動かして、時々先端を掠めるように。
その度にバーニィの脚が震えて、白い水面が波打った。
「…ぁ、ナマエ」
掠れた声が、私の名前を呼ぶ。
バーニィの瞳が、徐々に快楽に染まっていく。
首筋を伝う雫は、お湯なのか汗なのか。
どちらにせよ、ひどくセクシーなことに変わりはない。
緩急をつけながら熱を扱いて、時折その下にも指先を掠めさせる。
「…っ、は、…ぁ」
薄い唇から漏れる音に、私の熱も上げられて。
「バーニィ、バスタブの縁に座って」
耳元に、息を吹き込むように囁けば。
「…は、い」
なぜだか分かっていないまま、バーニィは言われた通りに腕に力を入れて身体を持ち上げると縁に腰掛けた。
脛から下だけがお湯に浸かっている状態。
私はバスタブの中で膝立ちになると、バーニィの股の間に顔を寄せて。
「え、ナマエっ?」
焦った声なんて聞き流して、バーニィ自身を口に含んだ。
「そ、んな…ぁ…っ」
バーニィにフェラをするのは初めてだ。
私は基本的にこの行為を、頼まれない限りはしない。
もちろんこの手の経験がないバーニィは、それを強要したことがなくて。
だから、自らするのは初めてだった。
舌で愛撫して、かと思えば全体を口内に咥え込んで。
大きすぎて嘔吐きそうになったが、必死で堪えた。
そのままスライドさせて、たまに先端に舌先を押し付けて。
「…ゃ、ふ…ぁ、だ、めです…」
喘ぎ声を漏らすバーニィを、口をいっぱいにしたまま見上げた。
髪を汗で額に張り付けて見下ろしてくるバーニィの、すっかり感じきった表情はあまりに卑猥だ。
そのまま見せ付けるように裏筋を舌で舐め上げる。
「あっ、ぁ、あ…っ」
バーニィが手を伸ばして、私の髪を弱く掴んだ。
太股がふるふると震えている。
私は視線を落とすと、その下の袋の方まで舌を這わせていった。
「ナマエ…っ、く、あぁ…っ」
刺激に慣れていないバーニィは、過剰なほどに反応して。
どんどん快楽に溺れていく。
もうきっと、理性なんて残っていないのだろう。
声を殺そうとする気配もない。
空いていた手で自身を擦れば、喘ぎ声がバスルームに反響した。
「ひっ、あぁぁっ」
どこまでも、愛したいと。
そう思ったのだ。
この、大切な大切な恋人を。
淋しがり屋で臆病で、愛に飢えたこの男を。
私の全てで、包み込んであげたかった。
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